TOKYO GAME SHOW | オンラインイベントは、どこまでアップデートできるか

CHALLENGE

PROJECT

TOKYO GAME SHOW

オンラインイベントは、どこまでアップデートできるか

世界最大規模のゲームの祭典「東京ゲームショウ:TOKYO GAME SHOW(以下、TGS)」。1996年から続くこのイベントに電通が共催会社として参画したのは2020年のこと。しかし、2020年からのTGSは新型コロナウイルスの影響でオンライン開催に。そんな中でも、Amazonと連携してライブコマースに挑戦し、イベントを更なる成功に導いたのが電通のTGSチームである。つづく2021年には、TGS史上初のVR会場の実装を実現させ、さらなる顧客体験の進化をもたらした。コロナ禍という制約の中でいかに成功に導いたのか。チームを代表して運営に携わった永山と野川と小里、VR化の基盤システムを電通グループが出資する株式会社amberと共同で提供した金林と新家に話を聞いた。

時代の変化を味方にして、
ゲーム業界を盛り上げたい。

INTERVIEW

  • 永山 昌美
    永山 昌美
    PROMOTION
  • 金林 真
    金林 真
    BUSINESS DESIGN
  • 新家 平璽
    新家 平璽
    BUSINESS DESIGN
  • 野川 茜衣
    野川 茜衣
    PROMOTION
  • 小里 陽香
    小里 陽香
    PROMOTION
INTERVIEW /01

史上最大の困難を、史上初の挑戦へ。

━━ 電通がTGSに参画したのが2020年。TGSと電通の関わりについて教えてください。

永山永山

TGSは主催が(一社)コンピュータエンターテインメント協会(以下、CESA)、共催が日経BPという体制で20年以上続くイベントです。電通は、ゲーム業界、スポーツの領域にこれまで以上に深く取り組んでいきたい想いから、2019年に行われた新共催会社選定の競合プレゼンに参加し、勝利。2020年から共催会社として参画しました。これにより、主催がCESA、日経BPと電通の2社が共催という体制となりました。

━━ 電通が、共催会社として事業を実施しているんですね。

永山永山

はい。クライアントから依頼を受けて、ソリューション提供するのが電通の基本的なビジネスモデルですが、この案件に関しては共催会社という立場で、リスクも負いながら、事業を実施していることになります。

━━ しかし2020年は、いきなりコロナ禍での開催に。

永山永山

2020年1月当初は、リアルで開催する企画を進めていましたが、新型コロナウイルス感染拡大の情勢を鑑みて、TGSもオンラインでの開催を決断。「これはピンチだな…」と思う一方、「TGSは、オンラインと親和性が高いのでは?」というポジティブな感覚があったのも確かです。どうせなら、今までのTGSにはなかったコンテンツを生み出すチャレンジをしてやろうと。

━━ Amazonと手を組み、TGS Amazon特設会場を設けたことは、その一環でしょうか?

永山永山

はい。TGSの重要なコンテンツの一つとして「物販」がありますが、これをオンラインでお客さまにストレスなく楽しんでもらうには、多くの方が日々利用しているAmazon.co.jp上で実現したいと考えました。たとえば、オンライン配信で新作ゲームの情報を見ながら、オンラインでそのままショッピングができる一気通貫した購買フローが作れないかということですね。実際にオンライン配信を見ながら、そこで見た商品を購入できる機能などは実装されました。この規模のイベントでのライブコマースの実装は、電通にとっても、Amazonにとっても大きな挑戦になりました。その取り組みが、お客さまに好評で、多くのメディアにも取り上げていただき、ビジネスとしても成功につながりました。

  • オンラインだからこその挑戦「TGS Amazon特設会場」
    ※初の完全オンライン開催だった2020年のAmazon特設会場

INTERVIEW /02

VRだからこそ、できること。

━━ そして、2021年。VRでTGSを楽しむ「TOKYO GAME SHOW VR 2021」を実現しています。

永山永山

XR(=VR[仮想現実]やAR[拡張現実]など、現実の認識にはたらきかける技術分野の総称)に展開しようというアイデアは2020年からありました。結局、2020年には間に合わなかったのですが、1年がかりで準備をし、実施を支えていただくパートナー企業や、VR出展社を集め2021年に実現できたというわけです。

金林金林

私は2014年頃からVRに関する仕事に取り組んでおり、2021年2月からはXRX STUDIOという社内横断組織を組成して、XR関連のビジネスを行っています。チーム内でXRビジネスを進めていく上で、大きなイベントをバーチャル上で行い、それに伴うプラットフォームをソリューションとして整備したいと話していた時に、タイミングよくTGSチームから声をかけていただいたんです。そこで、TGSとXRの相性の良さをお互いに確認でき、TGSのVR化という形で、正式に進めることになりました。

━━ VR空間は、どのように設計していったのでしょう?

金林金林

もっとも大事にしたのは、プレゼンス=”存在感”です。VRだからこそ、見るだけではない、体験を重視した会場にすることを心がけました。参加者は自身のアバターを操作して会場を巡ることになるのですが、VRの特性を生かして離れたところにいる友達とでも話しながら一緒に出展企業が用意したスペースに入って実際にゲームに登場するキャラクターを見たり、ゲームに登場する世界に入り込んだりしながら遊べるようにしています。また、浮かんでいるディスプレイをつかんで手元に手繰り寄せて再生できる「Grab &Play」というVRならではの体験もできるようにしました。

新家新家

それだけでなく、TGS VR 2021は会場に訪れること自体をゲーム体験にしているんです。各出展ブースで入手できる「つながりのカケラ」と呼ばれる宝をみんなで集めていくと、オブジェをつくることができます。「コロナ禍に失われたつながりを取り戻そう」というポジティブなメッセージを込めました。

  • 初のVR会場となったTGS VR 2021のエントランス。
    ここで数々のゲームのキャラクターと出会えた

  • アバターを操作し友人とTGS VR 2021会場を巡ることができる、また、会場内で手に入るアイテムでアバターのTシャツの変更も

  • 数々のゲームIPが出展するメイン会場。ドーナツ型になっているため、一方向に歩くだけで全ての空間を見て回れる

INTERVIEW /03

チャンスがある限り、1つでも新しいことを。

━━ 2021年は、さらに「TOKYO GAME MUSIC FES」というゲーム音楽のオーケストラコンサートも開催されていますね。

野川野川

日本から世界に向けてゲームの魅力を発信する一つのトリガーとして、ゲーム音楽を活用できないかと思って開催しました。まず、TGSにご参画いただいている各社のご協力を得て、類を見ないほど豪華なタイトルのラインアップを実現し、それぞれのゲームの音楽が持っている魅力を、より広い層の方々に届けていくために、クラシックオーケストラというパッケージにしました。

永山永山

特定のゲームのコンテンツを目当てにTGSを訪れた方々も、別のゲームの音楽に触れることによって、別のゲームとの偶発的な出会いを生むことにつながりました。

野川野川

実際にTwitterの声を拝見していると、それまで興味がなかったゲームタイトルにも興味を持っていただいたことも含めて、熱量高いコメントが集まっていました。

━━ TGS Amazon特設会場もパワーアップしていますね。

小里小里

2020年は、ゲームやゲーム関連商品の販売のみだったのですが、2021年は、ゲーム×ファッションという切り口で、よりTGSを盛り上げる施策を実施しました。Amazonが世界で展開するオンデマンド・プリントサービス「Merch by Amazon(マーチ バイ アマゾン)」を利用してTGSのロゴがザインされたオリジナルTシャツを販売したり、スポーツブランド「PUMA(プーマ)」とTGSがコラボした限定アイテムを発売したりしました。

━━ 小里さんは、新入社員としてTGSの運営に参加されたんですね。

小里小里

2021年の7月にTGSチームへの配属が決まって、はじめて担当した仕事が公式グッズの制作と販売だったんです。最初はもっと小さな仕事からはじまるものだと想像していたので、いきなり責任ある仕事を任せてもらいプレッシャーを感じることも多かったですが、「届いた!」とか「すてき!」といった声がSNSに書かれているのを見て、ものすごくやりがいを感じました。

  • ゲーム×音楽でつくった新しいTGSコンテンツ「TOKYO GAME MUSIC FES」

INTERVIEW /04

迷ったら、面白い方へ。

━━ このプロジェクトは、電通としても先駆的な事例だと思います。このような事例を実現できたポイントはどこにあるのでしょうか?

永山永山

世の中が変わっていく中で、新しいことをやるのは当たり前だと思うんです。ただ、電通の社員は、新しくて、しかも面白いことにこだわる人が多い印象です。時間や予算の制限があって妥協しそうな場面でも、最後まで粘って、少しでも遊び要素を入れる人が多い。電通グループのTHE 8WAYSにもあるように、「WE CHOOSE EXCITEMENT:迷ったら、面白い方へ。迷ってなくても、その方がいい。」という意識がみんなに浸透しているのだと思います。

小里小里

入社前は、THE 8WAYSってリアリティがないなと思っていた節も正直あったのですが、このチームはまさにTHE 8WAYSの中の「WE ALL LEAD:リーダーという職階はない。アイデアを出した人が、やり遂げた人が、リーダーと呼ばれる。」の通りだと感じました。これは入社前と後で感じた印象的なギャップの一つですね。

金林金林

XRX STUDIOも、仲がとてもいいです。部署も年齢も関係なく、キャッキャ言いながら、「こうやったら面白いよね」と自由に話していました。新しいことをやろうと思っていたわけではなく、面白いことをピュアに実行した結果、先駆者になれたら理想ですね。

永山永山

TGSに取り組ませていただいてから、本当にゲーム業界のことをずっと考えているんですよ。日本のゲーム業界とか、世界のゲーム産業が盛り上がるために、何ができるのか。広告会社は、クライアントの仕事を受注するイメージが強いと思いますが、それだけではなく、主体的にビジネスに関わる場面も増えています。私は個人的に、そういった仕事にやりがいを感じます。

新家新家

TGSの仕事は、どんなにたくさんの苦労があっても、終わったら「またやりたい」って思えているのが不思議で。楽しかったのはもちろん、新しいものができた時の興奮は大きいです。

野川野川

こういう表現が正しいかどうかわからないのですが、毎日が文化祭前日みたいな大変だけど楽しい日々を半年ほど過ごすことができました。一人一人の熱量が誰一人欠けても成立しないイベントだと思うし、その熱量の集合体がTGSだったのかなと思います。

━━ ゲームファンの期待も高まっていると思いますが、来年に向けて何か構想はありますか?

永山永山

世の中の状況次第ですが、リアルとオンラインのハイブリッド開催は取り組みたいことの一つです。とはいえ、リアルとオンラインを同時に開催するだけでは期待以上のものはつくれないと考えています。極端なことをいえば、すべてをリセットしてゼロからつくるくらいの気持ちで臨まないといけないなと。金林くんや新家くんの頭の中では「だったら、こんなことをしたい」というアイデアがきっと浮かんでいると思うんですね。もしかしたら、次のチャレンジの方が産みの苦しみは大きいかもしれないけど、TGSをさらにすてきなイベントにするためにまた頑張りたいですね。