電通の最大の財産は、間違いなく「人」です。ですから、社員がのびのび働ける環境をつくることが、何よりも大事だと考えています。「IGPへの革新」という大きなビジョンは大切にしていますが、細かい指針をつくることで社員がしばられてしまうことは望んでいません。なぜなら、電通で働く面白さは、「顧客や社会の持続的な成長に貢献し、それが結果として電通グループの提供価値を高めることにつながっている限り、何をやってもいい」という自由さに基づいているからです。逆に言えば、社員一人ひとりの能力を最大化することが、社会の持続的な成長への貢献につながると信じています。
2021年から、「THE 8 WAYS」という普遍的な価値観や働き方を表した行動指針を掲げています。かつてない価値を創造していくためにも、この8つすべてが電通にとって欠かせない要素になっています。THE 8 WAYSは、日本だけではなく、全世界の電通グループ約1,000社、約6万人が共通で持っている行動指針です。みなさんも是非ご覧いただき、好きな言葉を探してみてください。私が個人的に好きなのは、「WE DREAM LOUD / 夢は大きい方がいい。その大きさが人を集める。」という言葉です。
すべての仕事のベースに「クリエイティブ力」と「インサイト力」と「プロデュース力(実現力)」があります。これは、創業以来、120年間変わらない電通の3つのアイデンティティです。「クリエイティブ力」はクリエイティブの部署の人だけに必要とされているものではありません。クリエイティブも、メディアも、スポーツも、ビジネス創造も、電通で働くすべての人の仕事が、クリエイティブ力を抜きにして語ることはできないと信じています。そこに、世の中の人の気持ちをしっかり把握できるといったインサイトを捉える力(=インサイト力)や、アイデアを形にしていく力(=実現力)が合わさることで、電通独自の強みがつくられているのだと思います。
近年で言えば、「クリエイティブ力を軸にしつつ、かつグローバルで活躍するチャンスがある日本発の会社」というのも、電通の新しいオリジナリティの一つではないでしょうか。電通グループは海外にも数多くの拠点を持っていますが、彼らと日々会話をする中で、日本が持っている東洋的な価値観はやはり独特であり強みになるポテンシャルがあると感じています。ガラパゴスになるのではなく、日本独自の価値観とグローバルな価値観が、良い形で混ざり合うことが重要です。
また、グローバルの共通項としてテクノロジーの急速な進化があり、それは社会における持続的成長には欠かせません。私たちは、これまで培ってきた3つの力に、時代を先取りしたデータ・テクノロジーを実装していく。それがこれからの電通のオリジナリティとなり、新たな地平を切り拓いていくはずです。
「自分に何ができるか」「自分がどう貢献したいか」を考え、自発的に動ける人が、先駆者になるのだと考えています。「こんなことをやってみたい」という想いがあり、それが世の中の発展につながると信じているならば、1年目の社員でもどんどん挑戦してもらっていい。いや、むしろ挑戦してほしいと思います。仕事は、そうやって自分でつくっていくものです。電通には、ユニークで優秀な先輩たちがいます。素晴らしい顧客やパートナーがいます。様々な先駆者たちと出会い、一緒にチームを組むことでさらに成長できる人が、次の先駆者になっていくのだと思います。
電通はもはや「広告会社」ではなく、その仕事を一言で説明するのは難しいです。それでも、あえてシンプルに説明すると、お客様に対する「より良い体験」をサポートするのが電通である、と言えるかもしれません。どんなに時代が変わっても、「より良い体験」をしたいというお客様の気持ちは変わらないでしょう。その「より良い体験」を実現するためのアイデアを、あの手この手で実現するのが電通なのです。だから、学生のうちに素晴らしい体験をたくさんしてほしいと思います。そして、それがもし「つまらない体験だな」と思ったなら、どうしてつまらないのか、自分だったらどうやってもっといい体験に変えられるか、自分の頭で考えてみてください。もちろん勉強ではないので、楽しみながら(笑)。楽しみながら「より良い体験」をつくりたい!と思える人が、電通でも楽しく仕事と向き合えるのだと思います。