プロフェッショナル
ぞろいの組織とチームの
一体感こそが、電通の強み
─お二人は同期入社だそうですね。2009年に電通に入社されてから、どのようなキャリアを歩んできましたか。
渋谷: 1~3年目は、さまざまな業界のクライアントに対してソリューションプランニングや戦略コンサルティングを行いました。その後はフロントに立ってクライアントの課題解決を先導するビジネスプロデューサー(以下、BP)になり、現在も引き続きBPとして、日用品メーカーのブランドマーケティング戦略の構築からCM制作やイベント、メディアバイイングまで、幅広い領域で業務を推進しています。産休・育休を2度取得して、2023年4月に2人目の育休から復帰しました。今は、5歳と2歳の子どもがいます。
笹森: 私はまず当時のIM(インタラクティブ・メディア)局に配属されてAX領域の知見を深め、その後はマーケティングの部署に異動しました。そして、部署ごと電通デジタルへ出向して、「デジタルを用いて顧客体験をつくる」ことをミッションに業務に取り組み、CXやDX領域に携わりました。現在は、クライアントの課題に寄り添って企業変革を支援する、BX領域の業務に従事しています。私も産休・育休を2度取得していて、2020年4月に2人目の育休から復帰しました。小学生と5歳の子どもがいます。

電通だからこそ成せる
ビッグプロジェクト。
限られた
時間でどう実現?
─産休・育休を取得しつつ、本当に多様な経験を積まれてきたのですね。特に印象的なプロジェクトなどはありますか。
笹森: 一度目の育休復帰直後に担当した、食品メーカーのプロジェクトが印象に残っています。私はクリエーティブとデジタルの橋渡しを行う役割として、クリエーティブチームが練り上げたプロジェクトの核となる商品を象徴するようなキャラクターがデジタル上でも愛されるように設計をお手伝いさせてもらいました。結果的に、キャラクターはSNS上で大いに話題になり、クライアントのブランディング強化にも大きく貢献できたので、とてもやりがいがありました。

渋谷:
日用品メーカーのクライアントの、リニューアル商品のプロモーションに携わったことが印象に残っています。当時、その商品の市場シェアに課題があったため、リニューアルを機により大きなシェアを獲得すべく、クライアントは高い目標を掲げていました。
私はBPとして、クライアントの目標達成に向けて、商品設計からコミュニケーションの戦略構築、CM制作やキャンペーンの実施運営まですべてのプロセスに伴走しました。クライアントのキーパーソンと密に連携を取りながらプロジェクトを進行した結果、無事に目標を達成できて、今でもクライアントと思い出を語り合えるほど印象深いプロジェクトです。
─プロジェクトの成功のカギは、どのようなところにあったと思いますか。
笹森: クライアントも含め「ワンチーム」を掲げて、一体感を重視してプロジェクトに臨めたことでしょうか。例えばクリエーティブのメンバーは、専門家ではない周りのメンバーの意見もフラットに受け入れながら、アウトプットの質を高めてくれました。また、個人的には育休復帰直後であったため、できることとできないことを明確に示して周りに理解してもらいながら、限られた時間で成果を出すことに向き合いました。
渋谷: 個人としては、CMに出演していただくタレントさんとのコミュニケーションに注力したことです。タレントさん側の意向もあるなかで、クライアントと電通で目指していた表現が叶ったCMは、各所から高く評価していただきました。ただ、一番の要因は総合力だと思います。戦略やクリエーティブなど、プロジェクトに関連するさまざまなチームが、それぞれ最大のパフォーマンスを発揮して良いチームワークで臨めたからです。
悩みや葛藤があるなかで、
「やっぱり電通で働きたい」
と思える理由
─仕事と家庭をどちらも大切にしながら第一線で活躍されるお二人ですが、
その過程にはさまざまな困難や悩みもあったのではないでしょうか。
渋谷:
まさに、悩みだらけです。例えば、育児をする立場になると、必然的に全力で仕事に打ち込める時間は減るため、そうした状況下でいかにパフォーマンスを出せるか、チームの役に立てるかという不安はありました。
また、子どもの突然の発熱など、子育てをする中では想定外のことが山ほど起こります。そうした状況でどう対処するのが最善か、自分でもまだ悩みながら模索しているところで、大手を振って「乗り越えられている」とは言えません。そんななかでも心掛けているのは、システム化して効率化できる業務や、他のメンバーでも対応できる業務などを切り出すことです。上長やチームメンバーのサポートを受けつつ、自ら声を上げて工夫できるところはする。そうやって、チームでカバーし合いながら業務を回せる体制を模索しています。
笹森:
電通の社員に多い性質かもしれませんが、家にいてもふと翌日の資料のことを考えてしまうなど、意識しなければ家庭とのバランスが崩れてしまいやすいタイプだと思います。
ただ、私のチームでも上長が「チームで仕事を回す」ことに重きを置いた体制を構築してくれているので、「自分一人で何とかしよう」と思わずに自然と頼ることができ、本当に助かっています。
また、今後のキャリアを考えていく中で家庭とのバランスに悩んでいたときには、「母親である笹森さんの働き方も含めて局に還元してほしい」と私への期待値を明確にしてもらいました。実績の面だけでなく数値にできない評価指標を含めて、キャリア形成を後押ししてくれるような流れは、全社的にさらに広がってほしいと期待しています。
─大変な日々のなかでも、「やっぱり電通で働き続けたい」と思えているのはなぜでしょうか。
渋谷:
電通の社員には、ものすごく面白い人たちが多いからです。興味や好奇心が仕事の原動力なこともあって、「この分野ならこの人」とどんなにニッチな分野であっても必ずその道のプロが見つかるほど、社内にはたくさんの専門家がいます。
実際、そうしたメンバーとかかわることで私も刺激を受け、育休中には資格を取得してボランティアでリトミック講師を務めるなど、「気になったことがあれば、深掘りして挑戦してみよう」という意識が身に付きました。この刺激的な環境の貴重さと面白さは、育休から復帰して改めて実感した魅力の一つです。
笹森:
「これでいい」ではなく「ここまでいこうよ」と、チーム一丸となって本気で高みを目指しながら仕事に取り組めるところに、何にも代えがたい醍醐味を感じています。
また、子育てを経験している身だからこその観点で、食品メーカーや日用品メーカーのクライアントと関わるなかで、「親目線での意見」を求められる場面が多々あります。一生活者として自分の体験や感じている課題を伝えることで、世の中を少しでもより良い方向に変えていける。そう考えると、私たちのような立場で働く人が増えることは、想像以上に大きな意義があるといえるかもしれません。

変わりゆく社会と人に
向き合い続けてきた
電通だから
実現できる働き方
─働きやすさにつながっている、電通ならではの制度やカルチャーはありますか。
渋谷:
上司と相談しながら、自分の裁量でリモートワークができるようになって、園行事の時間帯だけ中抜けするといったこともしやすくなり、「0か100か」ではない働き方ができるようになりました。
また、消費者のインサイトを捉える活動を続けてきた電通ならではのカルチャーも助けになっています。例えば、「子どものお迎えから帰ったら何をしているの?」など、立場の違う人からすると容易に想像がつかないようなことも、当社では周りのメンバーが日々のコミュニケーションの中で想像力を働かせ、自然と事情をくんでくれるような場面もあります。相手を深く理解しようとする電通らしさと、ポジティブに受け入れてくれるメンバーの姿勢に助けられています。
笹森:
当社では女性だけでなく、男性の育休取得も当たり前のものとなっていて、2023年度においては男性の育休取得率が94.3%に上りました。それだけではなく、「子どもが風邪をひいたので休みます」「お迎えに行くので、その時間帯は打ち合わせに参加できません」と積極的に発言する男性社員も増え、私も何か困ったときに意見を言いやすくなりましたし、チーム全体で悩みを共有しやすい環境が醸成されています。
電通には、「皆で気持ちよく働くためにはどうすればいいか」「どう伝えれば理解してもらえるだろうか」と思ったときに、対話を重ねながら一緒に考えてくれる人が多くいます。また、悩みながらも働き方を模索し、子育てしながらの働き方を開拓してくれている仲間たちがいます。個々の理想の働き方を、共によりよい形で目指していくことができるのは、当社ならではの魅力ではないかと思っています。
─さまざまな悩みを抱えながらも電通だからこそできることを聞いてきましたが、
お二人は今後どのようなことに挑戦していきたいとお考えですか。
渋谷: 子どもの成長に日々向き合うなかで、「育てる」ことに強い興味を持ち、人の成長や組織の成長につながる仕事をしたいという思いが高まっています。そこで今、電通ならではのクリエーティビティを生かした人事戦略やHR領域についての情報収集なども積極的に行っています。また、局内にもHR領域に特化した役職などがあるため、将来的にはそうした仕事にも挑戦してみたいです。
笹森: 今の部署に異動し、企業の変革に寄り添うことの面白さと、電通だからこそ提供できる価値の大きさを改めて実感しています。例えば、クライアントがまだ自覚していない魅力を見つけ出すなかで、電通が強みとする「インタビューをして深く掘る力」や「明らかになった課題を整理する力」、「魅力を言語化する力」は非常に強力な武器となります。今後もそうした電通の介在価値を磨き、クライアントのBXを支援していきたいと思います。
─最後に、この記事をご覧の方にメッセージをお願いします。
渋谷:
環境や制度がいくら整ってきていても、「仕事と家事や育児を両立できます」と手放しに言うことは難しいものです。私自身、毎日苦悩しながら、なんとか日々をやりくりしている状況です。正直、家族分の洗濯物の山と子どもが散らかしまくった部屋を体力の限界の中で見つめながら、「回っていないな……」と思うことも多々あります。
ただ、今は互いの事情や状況を理解し合い、新しい働き方を実現できる時代へ変わろうとしている過渡期です。そのうえで、私たち自身の「理解し合うための努力」も不可欠でしょう。どんな大きな壁が立ちふさがっても、「さあ、どうやって乗り越えようか」と皆で考え進んでいける、電通の組織とチーミングの力はどこにも負けない強みだと思います。「育児をしながらどう働こう」と悩んでいる方も、そうした思いをチームは全力で受け止めますので、ぜひ思い切って応募してほしいです。
笹森:
渋谷さん同様に、私自身も日々悩み、手探りしながら日々を乗り越えています。そんな中でもお伝えできることがあるとすれば、「自分のやりたいことができればそれでいい」というよりも、互いの強みを全力で発揮し、困難をも楽しみながらチームで乗り越え、共に成長していきたいという人にとって、電通はとてもやりがいのあるフィールドだと思います。
日々変わりゆく環境や社会にどう向き合うか、そこで生きる人たちにどう寄り添うかという視点を持っている電通だからこそ、実現できることはたくさんあります。自身の経験を生かし、企業、ひいては社会をより良くしたいという思いをお持ちの方と、一緒に働けたらうれしいです。