データを「ニーズ基点で
応用する」仕事
築地 佑弥
- 入社年度
- 2024
- 学生時代の専攻
- 医科学
Q.入社前はどんな学生でしたか?
大学院では医科学を専攻し、医療情報学の研究に取り組んでいました。並行して外部の研究機関にも所属し、専攻とは異なる領域の研究にも取り組んでいました。朝から晩まで研究漬けの学生生活でした。
当時のメインテーマは医療AIでした。厳密には少し異なるのですが、端的に言えば、電子カルテなどのテキスト情報を解析するAIを開発していました。また、外部の研究機関では、AIを活用したデバイス開発の基礎研究にも携わっていました。
当時の研究内容がそのまま現在の仕事に直結しているかというと、多様な仕事に携わっていることもあり、正直なところ、あまり活かされていないと思います。ただ、研究を通じて培ったプロセス…例えば、新しい分野やテーマがあったときに、それに関連する論文を調べたり、アプローチを模索したりするような進め方については、今の業務にもかなり生きています。「この技術が流行っているから深掘りしてみよう」「実際に自分でも実装してみよう」といったように、そういったインプットとアウトプットのサイクルは入社前から現在まで日常的に行っています。医療情報学の「既存の業務をAIで応用・改善する」という視点は、今の業務にも通じていると思います。

Q.電通ではどんなお仕事を
していますか?
現在携わっている仕事は、主にデータサイエンス業務、開発業務、プライバシー・テクノロジーコンサルティングの3つの領域です。今回はその中から開発業務についてお話します。主に担当しているのは、生成AIエージェントなどを活用した社内外向けの新規ソリューション開発です。顧客と向き合うことの多い他部署では、ある特定の顧客に特化したご提案を中心に行うことが多いのですが、私の所属部署(DTC)は「5年先の電通の武器となるソリューションを開発する」というミッションを掲げています。そのため、個別企業の課題に向き合いながらも、それをなるべく「汎用的なソリューション」へと昇華させることを意識しています。
A社が抱える課題は、B社やC社にも当てはまるケースが多々あります。そこで、共通の課題を解決するような大きなソリューションにしていくといったイメージです。とはいえ、いきなり大規模な開発に着手すると頓挫するリスクもあるため、初めは各顧客のニーズに寄り添ったPoCから始め、需要が見込めるものを汎用化していくアプローチをとっています。
求められるスキルとしては、プログラミング能力はもちろん、データクラウドの知識が不可欠です。日々の業務ではAWSや、Google Cloud、Snowflake、Databricksなどを活用しています。学生時代は、オンプレミスでの開発が中心だったため、最先端のクラウド基盤を複数駆使できるのは、面白い部分ですね。同時に、クラウド環境は従量課金となるため、計算効率の最適化や費用対効果の高いツールの選定など、コスト意識は強く持つようになりました。電通は、新しいツールを積極的に使わせてくれる文化があるため、エンジニアとして非常に働きやすい環境だと思います。
ちなみに、こうしたクラウドの知識は入社後に身につけました。私は常に、アサインされたプロジェクトに関連する技術を自ら調査し、実際に手を動かして実装してみることを心掛けています。自分自身で触れて技術を理解しておくことで、意思疎通がスムーズになり、結果的により良いソリューション開発に繋がると考えているからです。
電通のチーム単独ですべてを構築するのは工数的に難しいため、グループ会社と密に連携する場面も多いです。各社の強みを活かし、足りない部分を補い合いながら、チーム一丸となってソリューションを作り上げています。

Q.チームにおいて築地さんは
どのような役割を担っていますか?
チームの中では、要件定義を行いながら自分でも実装を手掛ける、という役割を担うことが多いです。開発において要件定義が甘いと、想定とまったく違うものが出来上がり、大きな手戻りが発生することが多々あります。そのため、要件定義を行う側が実装に関する知識・知見を持っていることが非常に重要だと考えています。要件を緻密に定義することで、認識の齟齬を防ぐことができるからです。一方で、ドキュメントだけでは伝えきれない部分も多いため、実際に自分でプロトタイプを作成し、「これをベースに開発を進めてください」と依頼することもあります。これまで様々な開発案件に携わってきましたが、実際にリリースされたソリューションの一つに、2025年にリリースされた「Tobiras Shared Garden」という、企業間データ連携を安全に実現するプラットフォームがあります。これは、企業グループ内・他企業間や、電通がアライアンスを構築したデータホルダー、プラットフォーム企業とのデータ連携を可能にする場を提供するソリューションです。
Tobiras Shared Gardenでは、以下の3つの機能を用意しています。
- プライバシーポリシー確認支援を行う「Consent Matching Support AI」
- 安全管理や非エンジニアによる分析・評価を支援する「Interoperable DCR」
- 分析結果に基づく広告やCRMの施策実施を支援する「Intelligent Activation」
私はその中でも特に、「Consent Matching Support AI」の開発を担当しました。様々なデータを連携させたいと考えても、顧客側のプライバシーポリシーが整っていないと連携できないというジレンマが発生します。そこで、プライバシーポリシーの確認作業をサポートするAIを開発しました。法的な制約なども多いため、弁護士と共に何度も議論を重ね、システムを構築しました。これら以外にも多数の機能を現在開発しています。少しでも多くのお客様に活用していただき、企業間のデータ連携がより一層進んでいければと考えています。

Q.電通ならではの業務を通じて
得られた成長や、
電通で今後得たい成長はありますか?
ニーズを起点に開発する力は、入社後に大きく伸びたなと感じています。大学での研究との大きな違いは、求められる価値あるものを、いかにスピード感を持って形にするか、だと思います。特に、電通は多様なクライアントやパートナーとお取引きしていることもあり、興味深いニーズやテーマが次々と舞い込んできます。「このニーズやテーマにあの技術を組み合わせたら、新しいものができるのではないか。実際に試してみよう。」「この新しい取り組みが上手くいきそうだから、実際に特許を出願してみよう。」というように、1つのテーマに対して深掘るだけでなく、常に新しいアイデアを形にしていける環境は全く飽きがこなくて非常に面白いです。社内の誰もが口を揃えて言っているので、ここが電通の一番の面白さであり大きな魅力だと思います。今後もさらに新しいものを生み出していきたいですね。
実際に今、特許出願を進めている案件がいくつかあるのですが、マーケティングの部署からいただいた課題が起点になっています。開発部署の中に閉じこもっていると真のニーズが見えづらく、一生懸命開発したとしても結局あまり使われなかったり、求められるものとは異なる方向の物を作ってしまったりするケースも少なくありません。新入社員の時はこの勘所が分からず、時間をかけたにもかかわらず、あまりいいソリューションにならなかったという苦い経験がありました。
だからこそ、多方面からさまざまな課題や相談が寄せられる電通の環境は、開発者として非常に刺激的だと感じます。 そうした経験の幅を広げられるという意味でも、若手のうちに複数部署を経験できる「第二配属」の制度は、とても良い仕組みだと思っています。一つの部署で3〜5年ほど経験して一通りの学びを得たら、その知見をまた別の場所で応用していく。そうした考え方が、今後の成長には重要になってくるのかなと思います。