SUNTORY | ビジネスプロデューサーだから見える新しい景色

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ビジネスプロデューサーだから見える新しい景色

広告やマーケティングを超えたより広い領域からクライアントの成長をサポートし、社会全体の成長に貢献する。そんなIntegrated Growth Partner(IGP)を目指す電通において、クライアントと最も近い距離で手を組み、常に現場の最前線にいるのが「ビジネスプロデューサー(BP)」である。日々変わりゆくクライアントの本質的な課題を発見し、最適なソリューションを提供し、確実に実行する。そんな彼らにとって、見たことのない新しい景色を探し続けるモチベーションはどこにあるのか。サントリーのBPを担当し、この数年間で多様なプロジェクトをプロデュースしてきた水上と藤本に話を聞いた。

社会に意味ある、
化学反応を起こしたい。

INTERVIEW

  • 藤本 眞一郎
    藤本 眞一郎
    BUSINESS PRODUCER
  • 水上 悟志
    水上 悟志
    BUSINESS PRODUCER
INTERVIEW /01

やったことないことでも、やり切る覚悟を持つ

━━ 藤本さんは、BPとしてサントリーさんと新しいビジネスの創出に挑戦中ですね。

藤本藤本

はい、サントリーさんとフードマガジン「エル・グルメ(ELLE gourmet)」のコラボレーションによって生まれた食体験サービス「table trip」を、TastyTableさんの協力のもと立ち上げました。これは、一言でいうと「ミールキットサービス」のことで、いろいろな国の料理とその料理にぴったりのお酒、さらに現地の魅力をたっぷりと詰め込んだトリップブックまでお届けするというものです。ちょっと特別な日の食事に、世界の料理を楽しむだけではなく、まるでその土地を訪れ、旅をするような食体験をしてもらいたいという想いが込められています。

━━ 「D2C」の領域に挑戦することになったきっかけは、なんだったのでしょうか?

藤本藤本

きっかけは、コロナ禍が始まったことですね。その当時、サントリーが最初に取り組んだのは、厳しい立場に置かれている飲食店を支援すること。そして、その次のステップとして、各家庭で起きている「食」にまつわる課題にも目を向けるようになったんです。ステイホームが続き、家の中で似たような食事が繰り返されるマンネリが起きているとしたら、その解決にサントリーが一役買えないかと。そんな課題に対して、僕たちが提案したアイデアが「table trip」でした。食事を旅気分にすることで、家の中での「ハレの体験」をつくっていけないかと。

━━ 2021年8月には、テストローンチにたどり着いていますね。

藤本藤本

はい。サントリーさんにとっても「食べ物をD2Cで販売する」という史上初のチャレンジでしたので、品質管理はもちろんさまざまな観点でローンチには時間がかかりましたが、とにかくやりきるんだという意志で各所の協力もいただき、なんとか実現にたどり着きました。その結果、第1弾「フランス」、第2弾「イタリア」、第3弾「スペイン」と、テスト販売した計300セットが、おかげさまで完売。お客さまからもたくさんのポジティブな感想をいただくことができました。今は、2022年の本格的なローンチに向けて動いているところです。

  • サントリーの新規D2C事業「tabletrip」

  • テスト販売メニュー(フランス/スペイン/イタリア)

INTERVIEW /02

その企画がない社会より、その企画が実現した社会の方が、きっといい社会だから

━━ 水上さんも、「サントリー天然水」の担当として、広告を超えた活動に取り組んでいますね。

水上水上

そうですね。国内清涼飲料市場ナンバーワンのブランドである「サントリー天然水」が、2021年3月、東日本大震災発生から10年のタイミングに、河北新報さんと協力し「サントリー天然水 防災継承プロジェクト」を始動させました。

━━ なぜ、天然水がそのようなプロジェクトに取り組むことになったのでしょうか?

水上水上

災害大国になりつつある日本において、お客さまの防災に対する意識を高め、災害に備えておくことの大切さを啓発していくことも、ナンバーワンブランドとしての重要な使命であるという想いからです。具体的には、防災継承ウェブサイト「3.11あの日、助けてくれたものリスト」の中で、東日本大震災を経験された方の声をもとに、便利な防災グッズ以上に自分の体を、心を、本当に支えてくれたものは何か、をまとめて公開しました。「もしもに備える大切さ」を未来に継承していく取り組みとしてスタートし、台風シーズンである9月には「備蓄水」の重要性を知ってもらうキャンペーンも展開しました。

━━ 品を売るためだけではない取り組みは、企業広告としても展開されていますね。

水上水上

サントリーさんは、「水と生きる」という企業理念のもと、水を未来に届けるための水源涵養(かんよう)活動を続けています。その活動を一方的に伝えるのではなく、みんなにも考えてもらうようなムーブメントにしていきたい。でも、「水と未来の話をしよう」っていきなり言われても、大事なことだとはわかっても、なんとなく遠い話に聞こえますよね。ですから、水の未来とは、いのちや地球の未来のことであり、その「未来」を用意するのは、やがて過去と呼ばれる「今の私たち」なんだ、と視点を転換。「ぼくたちは、素晴らしい過去になれるだろうか。」というスローガンを掲げ、子どもの日にコミュニケーションを展開しました。企業の一方的な発信ではなく、「なぜその活動をやり続けるのか」という企業の姿勢から出発していることがポイントですね。

━━ その二つのプロジェクトを実現させる中で、水上さん個人としてはどんな想いを持っていましたか?

水上水上

どちらも、チームのみんなが考えてくれる企画がものすごくいいんですよね。企画がいいと心から思えるから、ハードルがどんなに高くても、なんとかして実現したいと思える。社会と企業やブランドとの接点をきちんと見つけた上で、社会にとってすごく価値のある企画をサントリーさんと一緒に発信していくことは、サントリーさんだけじゃなく、社会にとってもいいことだと確信が持てるし、その確信こそが僕自身の大きな原動力になっています。

藤本藤本

僕も全く同じで、クライアントからの依頼だからやっているというよりは、お客さまや、社会全体を見たときに、そこに価値を届けたいと思うから仕事をしていますね。

  • 東日本大震災を経験された方々のお話から生まれた、あの日、助けてくれたものリスト」。

  • 同年秋には、継続的な防災備蓄啓発のための活動として、「防災用の水と灯り」をテーマにキャンペーンを展開した。

INTERVIEW /03

見たいのは、社会に意味のある化学反応

━━ BPとして多様な仕事にチャレンジする上で、大事なものはなんだと思いますか?

藤本藤本

「ヒアリング力」だと僕は思います。マーコムの領域から一歩踏み込んで、クライアントのビジネスのさまざまな領域の課題に向き合う上では欠かせない力かなと。クライアントの中でも、当然いろんな人が、いろんな立場で、いろんな課題を抱えている。社外にいるパートナーだからこそ見られる俯瞰(ふかん)的な視点でヒアリングを重ねることで、課題の本質をつかんでいければと思っています。BPがその責任感で取り組むことが、適切なアサインという意味でも、社内のスタッフのためにもなりますしね。

━━ 水上さんは、いかがですか?

水上水上

先輩に言われてから、ずっと大事にしている言葉があります。「いい仕事には、『化学反応』が必要だ」と。いつもと違う分野の仕事をしたり、いつもと違うスタッフで働くことで、良い意味での「化学反応」が生まれる。それをあえて生み出すのが、ビジネスプロデューサーの仕事なんだと。例えば、サントリーさんが悩んでいる課題について、同じ課題で悩んでいる人が社内にすでにいるかもしれない、みたいなことですね。両者をうまくつなぐことで、課題がスムーズに解決に向かうかもしれないし、もっと大きな課題が具体化されて、仕事として取り組む価値も大きくなるかもしれないですから。

━━ 「化学反応」を起こして、アイデアを実現するところまでがビジネスプロデュースなんですね。

水上水上

電通の強みとして、「実行力」をクライアントから評価いただいていることは強く感じます。それは、過去の先輩たちが積み上げてきた「電通だったらやり遂げてくれる」という期待からくるものです。プレッシャーはありますが、その期待が武器にもなっていますね。

INTERVIEW /04

領域が広がるからこそ、自分の意志を信じたい

━━ BPはその役割的に、クライアントと、アイデアを考えるスタッフの間に立つことが多いと思いますが、どんなことを考えながらはたらいていますか?

水上水上

すごく意識しているのは、あえて、バランスを取らないこと。というのも、両方に気を使って、バランスを取りに行くと、「自分って何がしたかったんだっけ……」と、逆に自分自身がアンバランスになってしまうからです。なので、ちゃんと自分なりの意志を持って行動することを意識しています。右の人には右の話を聞いて、左の人には左の話を聞いて、というバランスの取り方をしていると、判断基準や思考の軸がわからなくなってしまいますから。

━━ まずは自分なりの意志があるからこそ、プロジェクト全体のバランスが取れるんですね。

水上水上

経営層も含めてステークホルダーが多くなるプロジェクトでは、受け身の姿勢で流されるように取り組んでいては、なかなか実現しないんですよね。そんな中でも、自分の意志をきちんと持ち続け、全員がきちんと同じ方向を向けるように議論を重ねていくことを大事にしています。

━━ その意志を持つ上でも、社会的に意味があることが大事なんですよね。

水上水上

「水が社会にとって役立てることはなんだろう?」と考えていたら、「防災」がテーマのプロジェクトが始まったし、「#素晴らしい過去になろう」も、SDGsが目的だったわけではなく、飲料メーカーが社会に対して何ができるかを考えた結果にすぎません。

藤本藤本

「table trip」も同じですね。D2Cをやるぞ!とか、広告以外のことをやるぞ!ということが目的だったわけではありません。「サントリーが、コロナ禍でできることはなんだろう?」と考えていたら、たまたまD2Cという答えにたどり着いただけで。

━━ 領域はあまり意識していないということでしょうか?

水上水上

そうですね。逆にいえば、広告以外の仕事が増えビジネスプロデューサーという肩書になっていますが、広告の力だって同じくらい信じています。広告であっても、それ以外でも、「社会的に意味があって、まだ実装されていない、新しいことであれば、領域にかかわらずやる」ということです。

藤本藤本

仕事の領域が広がっている分、BPが責任を持ってやるべきことは増えています。でも、それは大変っていうより、楽しいことで。ビジネス領域、カスタマーエクスペリエンス領域、デジタル領域。より広い領域にヒアリングし、クライアントの課題解決に向けて、一緒に走っていきたいですね。