UMU淡路島 RESPECT YOU, au | 思い描く未来に向けて、ビジネスをゼロからつくる

CHALLENGE

PROJECT

UMU淡路島 RESPECT YOU, au

思い描く未来に向けて、ビジネスをゼロからつくる

電通関西オフィスで働く鎌田、大原が仕掛けたグランピング施設がある。2022年、淡路島に期間限定オープンした「UMU淡路島 RESPECT YOU, au」。ミラー型トレーラーと地産の食事、そしてauの通信技術を使った新しいグランピング体験ができる施設として、好評を博した。事業を運営するのは、放送局、グランピング会社、そして、電通。3社はどのような形でパートナーシップを結んでいるのか。そして、その取り組みのパートナーとなったau(KDDI)の狙いとは。プロジェクトの中心メンバーである鎌田、大原と、KDDI担当ビジネスプロデューサーの杉浦に話を聞いた。

グランピングの力で、
地域を活性化させたい

INTERVIEW

  • 鎌田 峰明
    鎌田 峰明
    BUSINESS DESIGN
  • 杉浦 もも子
    杉浦 もも子
    BUSINESS PRODUCE
  • 大原 漢太郎
    大原 漢太郎
    ART
INTERVIEW /01

地域の課題を解決するために

━━ 電通とグランピング事業。普通はつながらなさそうな仕事ですが、どのようにしてはじまったのでしょうか?

鎌田鎌田

僕はもともと、このプロジェクト以前から遊休地問題に課題意識を持っていて。すてきなロケーションにもかかわらずまだ活用されていない空き地が日本にはたくさんあるので、なんとか資源として価値化できないかと考えていたんです。その一つの可能性として、グランピングにも注目していました。

━━ 鎌田さんの個人的な課題意識から生まれているんですね。

鎌田鎌田

僕は、日本の自然が好きなんです。なんらかの形で日本の自然と食を生かし、地方を元気にするプロジェクトを立ち上げたいと思っていました。そして、日本人だけでなく、訪日観光客にも人気の場所をつくりたいなと。安心安全で過ごせて、かつ四季の彩りを贅沢に感じられる国は、世界でも珍しいですから。

━━ そこで着目したのが、グランピング事業だったのですね?

鎌田鎌田

はい。電通だけでなく、放送局であるABC(朝日放送グループホールディングス)、そしてグランピング会社とパートナーを組み、本格的にグランピングを定着、そして進化させるための事業をはじめました。そこで開発されたのが、移動可能&レンタル型のグランピングパッケージです。

━━ 移動可能&レンタル型のグランピングパッケージ?

鎌田鎌田

通常のグランピングは、一つの拠点の中にテントや宿泊施設を集めますよね。でも、日本各地の魅力を伝えるためには、一つの拠点にとどまらず、トレーラーで移動できるグランピング施設があるといいなと思ったんです。宿泊機能だけでなく、食事やトイレ・シャワーなども備え、自然の中でも快適に過ごすためのあらゆる機能をもつトレーラーがあれば、どんな場所でもグランピングがはじめられますから。でも、いきなりトレーラーを購入するのはハードルが高いので、レンタル型のグランピングパッケージを用意して、貸し出すことにしたんです。そして、そのパッケージを最初に活用する場所として選んだのが、淡路島のオリーブ園でした。

━━ そのオリーブ園も、活用方法を探していたのでしょうか?

鎌田鎌田

そうなんです。この事業にふさわしい場所を探していたところ、縁あってマッチングすることができました。しかし、すぐに事業を開始できたわけではありません。グランピングの実施には行政の許可が必要なのですが、グランピング自体まだ法整備が追いついていないところもあり、難航しましたね。最終的には、法律に詳しいスタッフの手助けを得て、なんとか実施が決定しました。

  • グランピング施設の会場となったオリーブ園

INTERVIEW /02

チームでつくった「UMU」のコンセプト

━━ 他のメンバーとの出会いを教えてください。

鎌田鎌田

関西にとどまらずに、日本全国で活動を広げていきたいと思ったのがきっかけです。東京オフィスや地域電通(電通のグループ会社)に対してリモートでプレゼンを重ね、とにかくいろんな人に移動可能&レンタル型のグランピングパッケージの構想を話し、協力者を募集しました。そこで声をかけてくれたのが、杉浦だったんです。

杉浦杉浦

私は鎌田と同期で、昔からいっしょに仲間たちとキャンプに行っており、そんなつながりで定期的に連絡を取りあっていました。ちょうど、自分の担当クライアントであるKDDIさんが、通信を軸にした「地域共創」を掲げ、グランピング場をハブにした展開のご相談を頂いた際にも、鎌田と会話し事業の話とつなぐことで、プロジェクト化できるかもしれないと思ったんです。

鎌田鎌田

KDDIさんと一緒にビジネスとしてグランピングを進めるためには、コンセプトに共感してもらう必要があります。ただ、それまでのグランピングパッケージではコンセプトが弱かった。どうすれば魅力的なものになるか。そしてどう伝えていくか。クリエイティブ面でのサポートが必要だと考え、電通のアートディレクターをアサインすることにしました。それが大原くんです。

大原大原

遊休地活用を目的として日本全国を移動するという特徴に魅力を感じたので、その魅力をコンセプトに落とし込みたいと思いました。でも、いきなりトレーラーが出現したら、地元の人からすれば「よくわからないものが来たな。」と不安になるかもしれません。結果的にトレーラーに宿泊する人も、その土地の魅力を感じられないかもしれません。だからこのサービスは土地の魅力を利用するのではなく、「土地の力を高める」ことを活動の指針に設定しました。土地の魅力を楽しんで終わり、ではなく、サービスの提供が終わった後も、土地に活力を残すことが理想です。

鎌田鎌田

そうして生まれたのが、UMUです。「UMU」の語源は、「有無」です。移動式なので、その土地にある時と、ない時がある。でも、その土地を去った後も、ローカルに価値を「生む」。来てくれた人の感動を「生む」。そんな想いを込めた名前にしました。

杉浦杉浦

KDDIさんとは、地域共創プロジェクトにあたり、「地域とともに、おもしろいほうの未来へ。」というコンセプトを定めていました。あくまで地域の方、そして訪れる方、地域を応援したい方が主役であり、通信やテクノロジーは、その魅力を拡張するものと位置づけ。なので、まさにUMUの思想にも共鳴していただき、プロジェクトのスポンサーになっていただきました。そうして、「UMU淡路島 RESPECT YOU, au」が実現に向けて動き出したわけです。

  • UMU淡路島 RESPECT YOU, au施設看板

  • 風景を映し出すミラー型トレーラーハウス

INTERVIEW /03

クライアントと共感するから、できることがある

━━ KDDIさんは、このプロジェクトとどのようなシナジーを生んでいるのでしょうか?

大原大原

まず、KDDIさんの掲げる理念と、このプロジェクトの理念が一致していたところが大きいです。まさにUMUのゴールである、地域の活力を高める、という指針と重なっていますよね。

杉浦杉浦

通信は、暮らしを支えるインフラですが、目に見えないものです。ひととひとが「つながる」ことを大切にしているクライアントさんなので、地域共創プロジェクトでも、通信のチカラでひとの交流が生まれたり、土地の魅力を多くの方へつなげる発信基地として、グランピング場に注目していました。

━━ 具体的には、KDDIさんの資産をどのように活用されたのでしょうか?

杉浦杉浦

KDDIさんには、今回導入したスマートドローンやマチカメ(遠隔セルフィ―システム)をはじめとして、さまざまなテクノロジーがあるんです。そのなかには、地域課題を解決することを目指したものも多いのです。ただ我々は生活のなかで実体験しないと、なかなか身近に感じることができませんよね。

鎌田鎌田

ありがたかったのが、そうしたテクノロジーの見せ場にする姿勢が、KDDIさんにはなかったこと。その地域の邪魔をしない思想で、あくまでその土地を主役にしつつ、技術を提供していただけました。元々は耕作放棄地だったこの土地がオリーブ園となり、そしてKDDIさんの通信技術を活かした新しいグランピング体験が出来る場となり賑わいを作ってくれたことを地元の方々も喜んでくださいました。

大原大原

地域の自然や暮らしが主体で、テクノロジーは、それを支える存在。その関係性を意識してアートディレクションしました。

━━ 反響はどうでしたか?

杉浦杉浦

施設開業中にアンケートを実施し「9割以上が施設好意度と再訪意向がある」という結果になりました。また、「淡路の魅力を、テクノロジーの力でさらに楽しむことができた」というコメントや、「auの地域共創の取り組みに共感する」といった声も頂き、うれしく思います。

鎌田鎌田

お客さん以外にも、多くの自治体が視察に訪れ、農園活用の新しいモデルケースとして注目していただきました。さらにうれしいのは、オリーブ園の方々が「UMUが別の場所に活動を移しても、自分たちの力でグランピング施設として活用していきたい」と思ってくださっていること。UMU期間中、多くの人が集いKDDIさんのユニークな施策が掛け合わさったことで、地域の人が交流するハブになっていたそうです。UMUが去った後もその土地の価値を生む。このプロジェクトがそんな循環を生んでいくことを祈っています。

  • UMU淡路島 RESPECT YOU, auのパンフレット

  • KDDI技術によるUMU淡路島での新体験

INTERVIEW /04

夢を口にすることで、実現に近づく

━━ 「地域を活性化する」という目標は、淡路島で一つカタチになったと思います。この先の展望はありますか?

鎌田鎌田

元々持っていた目標である、「日本の観光資源の活用」をもっと進めていきたいですね。そのためにも、まずは、次のUMUを別の場所でも展開していきたいです。大きな夢にはなってしまいますが、「国立公園にも泊まれる」「万博にも泊まれる」など、日本のあらゆる場所に人が泊まって自然を楽しめる場所をつくりたいです。

━━ たしかに、大きな夢ですね。

鎌田鎌田

もちろん、一人ではできないことです。でも、だからこそ、「こういうことをやりたい!」と宣言をしておくことが大事だと思うんですよ。今回の仕事も、まずは、「こういうことをやりたい!」と宣言したことによって、多くの人が助けてくれました。情報や関心のアンテナを高く張っている人が多いのが、この会社の良いところだと思いますね。

杉浦杉浦

私も、KDDIさんからこの構想をお聞きして、「ぜひやりたい」と思ったんです。そう思ったときに、すぐ仲間と出会えて、お仕事になる。今回も、「社内でこんなに仕事がつながるんだ」と驚きました。それによって、クライアントのKDDIさんにも喜んでもらえて、結果もついてきている。こういう幸せな仕事をどんどん増やしたいですね。

━━ この仕事の中でいちばん幸せを感じたのは、どんな時でしたか?

杉浦杉浦

すごく個人的な話になっちゃうんですけど、クライアントさんはもちろんですが、ターゲット世代の後輩をUMUに連れていったんですよ。そしたら、すごく喜んでくれて。その時、「自分が楽しみながらつくったもので、喜んでもらえている。やってよかったな〜」と思いましたね。

大原大原

現地で配布するパンフレットに、UMUから車で15分圏内の歴史や施設をクローズアップするという企画を盛り込みたくて、実際にレンタカーでUMUの近辺をたくさん取材して回りました。それがとても面白くて、こんなふうに極端に狭いエリアを深掘りしたレポート集をつくりたいなと思うくらい(笑)。そして、その時に感じた気分をゆっくり振り返りながらパンフレットをデザインできたことがよかったです。すてきなイラストはイラストレーターのtentさんによるものです。

杉浦杉浦

大原がつくったパンフレットがあまりにも地域になじんでいて好評だったため、KDDIさんの初島でのグランピングプロジェクトも大原を中心に進めてもらっています。

大原大原

初島でも取材しているんですよね。漁協の方に話を聞いたりとか。

鎌田鎌田

仕事がフォーマット化されていないし、チームビルディングも自由なのが、この仕事の楽しさですよね。時にはクライアント同士をつなげることもあるし、結果的に、自分の想像を超えた仕事になっている。そんな過程を、これからも楽しんでいきたいですね。

お土産として来場者がDL可能なオリジナル動画