QDレーザ With My Eyes | 経営者の想いや企業の価値を可視化して、社会をより良く変えていく

CHALLENGE

PROJECT

QDレーザ With My Eyes

経営者の想いや企業の価値を可視化して、社会をより良く変えていく

なんらかの原因により視覚に障害を受け「見えにくい」「まぶしい」「見える範囲が狭くて歩きにくい」など、日常生活での不自由さをきたしている状態を「ロービジョン」と呼び、その人口は世界で2.5億人、日本国内では145万人(※)と推定されている。そんなロービジョン者が、レーザ網膜投影技術によって自らの目で写真撮影に挑む様子を描いた「With My Eyes」は多くの注目を集め、プロジェクトを実現したQDレーザは2021年2月、見事上場を果たした。QDレーザの社長・菅原充氏と、電通のビジネスプロデューサー・越智、クリエイター・秋山は、どのようにして挑戦を続けてきたのだろうか。
https://www.qdlaser.com/

すべての人の「できない」を、
「できる」に変えていきたい。

INTERVIEW

  • 秋山 貴都
    秋山 貴都
    CREATIVE
  • 越智 浩樹
    越智 浩樹
    BUSINESS PRODUCE
  • 菅原 充
    菅原 充
    株式会社QDレーザ
    代表取締役社長
INTERVIEW /01

経営者のビジョンを可視化し、社会を変える

━━ 今日は菅原社長にも参加頂いていますが、電通の2人はどのようにQDレーザさんと関わっていらっしゃるのでしょうか?

秋山秋山

私は、今回ご紹介いただく「With My Eyes」のような映像制作をはじめ、QDレーザさんの企業ブランディングにおけるクリエイティブディレクションを担当しています。

越智越智

私は、BP(ビジネスプロデューサー)としてお付き合いさせていただいています。秋山とは同期ということもあり、二人三脚で進めてきましたが、プロジェクトを進めていく中で菅原社長ともかなり近い距離でやりとりできたことで、前に進むことができたプロジェクトなのかなと思っています。

菅原菅原

こちらこそありがとうございます。2人とは会社を超えたパートナーとして常に付き合っているつもりです。

━━ そもそも、どのようなきっかけで、プロジェクトがスタートしたのでしょうか?

越智越智

上場を目指していたQDレーザさんが、自社技術をわかりやすく紹介するサイトを制作するパートナーを探していらっしゃったタイミングで、お会いすることができました。初回の提案時に、サイトはあくまで手段の一つであり、目的はQDレーザの持つ技術を、技術起点ではなく社会起点で整理しなおすことだとお伝えし、その上で、サイトという一つの手段ではなく、企業全体の価値向上として一緒に長期で取り組みましょう、と自主提案をしました。QDレーザの価値を社会的な目線から切り出し、「この価値を捉えなおす、こんなに面白くなりますよね!」という提案だけをお持ちしたんです。サイトのリニューアルの提案は一切せず…笑

菅原菅原

当初は、綺麗なサイトが作れればいいかなと思っていたのですが、初回の打ち合わせで2人の自主提案を受けて、QDレーザという企業価値をクリアに定義することで、一気にビジネスの可能性が広がる感覚が湧きました。

越智越智

私はもともと「経営者のビジョンを可視化すれば、社会を変えることができる」という想いを持っていて、そんな仕事がしたいと思って電通に入りました。QDレーザさんは世界に誇る素晴らしい技術がある。まさに彼らの価値を可視化し、社会を変えていく。大きなチャンスだと思ったんです。

菅原菅原

自分だけの目線で企業の未来を考えると、どうしても技術起点で物事を語ってしまう。でも、起点を変えて、その技術の価値をどう社会に生かし、結果として誰が幸せになるかを伝えることが大事だと、2人と出会うことで気がつきました。

  • プロジェクトで使用した「RETISSA SUPER CAPTURE」

INTERVIEW /02

ストーリーが伝わることで、事業は拡張できる

━━ QDレーザさんが社会に与える価値を可視化すべくつくった映像が、「With My Eyes」だったということですね。

越智越智

そうですね。QDレーザさんの中核である”網膜投影レーザ技術”が、優れた技術であることは間違いない。でもそれだけではだめで、当時のQDレーザさんは上場を直前に控えていたタイミングだったこともあり、その技術が、どうQDレーザの成長性につながるのか。それがどうして社会を変えていくのか。QDレーザが歩み出す「成長ストーリー」を投資家に理解してもらうこともとても大切だったんです。

菅原菅原

2人の提案によって、ビジネスが広がるイメージは自分の中に生まれていました。「With My Eyes」は、そのQDレーザが持つ価値をさらに可視化してくれたのかなと思います。

秋山秋山

実際、動画を見た人からは、「ロービジョン者の可能性を広げたいという想いに共感できた」「目指したい世界がよくわかった」という声を聞くことができましたね。

菅原菅原

QDレーザには個人株主が4万人もいらっしゃるんです。結果的に、そうした一般の方々にも共感して頂くことが、いまだにできている実感があります。

越智越智

菅原さんが描いている、長期的な未来を可視化できたことで、医療関係者や他の事業会社の方々の共感を得ることができ、業務提携が決まったり、「こんなビジネスをしたい」という協業の話も増えたんです。

菅原菅原

ビジネスでは、とにかく「ストーリー」が大事です。成長ストーリーや、エクイティストーリー。これらの内容が固まり、共感してくれる人が増えれば、事業はどんどん拡張する。ストーリーがあるからこそ、判断が生まれるんです。

秋山秋山

QDレーザさんのようなクライアントと向き合う時は、広告だからといって広くお茶の間に届けなきゃとか、バズって話題にならきゃということは全く考えていません。なぜなら、自分たちのクリエイティビティの力を使って、株主をはじめ、ビジネスパートナーやステークホルダーの理解を深めるお手伝いをすることがいちばんの貢献だと考えているからです。純粋に「なにが企業成長の役に立つか?」という視点しかないですね。

菅原菅原

事業の本質的な価値を可視化して、伝える。ことばが生まれるたびに、事業も拡張する。ことばの力って、本当に大きいと思いましたよ。

越智越智

QDレーザさんのやっていることを理解してもらうことができたことで、ロービジョン者に対する理解も進んだと思います。ロービジョン者は、世界に2.5億人いると推定されているのですが、この仕事を始める前は僕も知りませんでした。このプロジェクトをきっかけに、QDレーザだけではなく、パートナーとなる企業と一緒に、ロービジョン者の可能性を拡げていければと思います。

菅原菅原

元々QDレーザは半導体レーザ領域で活動していましたが、そのレーザ技術を生かして、医療業界では開けなかった可能性を拡げていきたいと考えています。この企画は、我々の挑戦、そして保有している技術価値を世の中に提示できた、大きな転換点になったと思います。

  • With My Eyes での一場面

  • レーザ網膜投影デバイスで写真撮影に挑む様子

INTERVIEW /03

ビジネスは、実装できなければ意味がない

━━ このストーリーを実現するために、映像制作以外にどんなことをやっていますか?

菅原菅原

ストーリーは一番大事です。しかし、構想だけではなくて、実行に移すことって、とても大切なんですね。当たり前ですが。その点、BPの越智さんはストーリーを実行に移すフェーズでも力になってくれます。これまではロービジョンエイド(弱視支援)に注力してきましたが、これからはヘルスケアの領域までビジネスを展開していきます。その事業構想から推進まで一緒に進めてくれています。

━━ BPがいることで、ビジネスがドライブするんですね。

越智越智

私たちBPは、実装までやり切ることが仕事です。これは、電通にいると当たり前のことなのですが、広告の領域を一歩出ると大きな強みなんだということに気づかせてもらいました。電通で働いている人は、無形なアイディアを提供しています。課題を目の前にしたら、仮説を立て、大量にある手段から自分たちで最適解をつなげて実装していく、これが普段からできる能力は強みだと思います。

菅原菅原

分析や調査が得意な会社はたくさんある中で、ストーリーをつくり、実装まで進めてくれるのはありがたい。実装までが見えるからこそ、二人と話していると面白いんですよ。

秋山秋山

電通には、アイデアを具体化するプロがたくさんいますよね。やりたいプロジェクトに共感してくれた人が、どんどん仲間になってくれる。これは、電通の外にいたら絶対に得られないことです。

越智越智

企業の価値を可視化するための手段が日本一豊富。規模が大きいのもあるけど、動画制作のような表現分野だけでなく、いろんな手段が社内に溢れているのは大きいなと思います。

INTERVIEW /04

電通という立場にとらわれずに働くために

━━ 菅原さんのような経営者と対話しながら仕事をするとき、クリエイティブとしてどんなことを意識していますか?

秋山秋山

自分がクリエイティブであるという役割は、あまり意識していないですね。菅原さんの考えていることを、なんとかカタチにしたいという気持ちが一番大きいです。

越智越智

私と秋山に共通しているのは、「答えは経営者の中にある」というスタンス。菅原さんが考えていることを引き出すことに力を注いでいます。経営者ほど会社のことを考えている人はいませんから。

秋山秋山

そうですね。0から1をつくる”発明”は、やっぱりクライアントの経営者がするものだと思っています。自分たちは、1から10にする時間を早くするとか、10を100にまで拡大するとか、社会実装をすることが自分たちのミッションなのかなと。

越智越智

菅原さんの天才的な頭の中を理解し、可視化するために、業界のことも、業界の外のことも、いろんなインプットを常日頃心掛けています。

秋山秋山

自分たちの原動力は、好奇心。これ面白そうだなと思って仕事しているだけなんです。私は最初にQDレーザさんのお話を聞いたときも、面白いと思ったんですよ。

━━ 2人は、電通社員という立場を超えて、QDレーザのエグゼクティブ職にもつかれていますね。

菅原菅原

人間として全面的に信頼していないと、こういう仕事はできない。2人はQDレーザの成長ストーリーを一緒に作ったからこそ、向いている方向が一緒。だからこそ役職を持ってもらうことに違和感も全くなかったです。

秋山秋山

そういえば、電通の人間として菅原さんに意見を言うことはないですね。主語を電通にして、「電通としては〜」みたいに話すことはありえない。

越智越智

私は、儲けは結果だと考えています。目的ではない。対価は設定した上で、その対価を必ず超える。結果として関係が継続する。健全性と継続性が私の仕事のポリシーだったりします。

秋山秋山

私も同じですね。組織は大事ですが、会社のために働こうと思うと、しんどくなる。自分のために働く仕事はどんどん増やしたい。BPだからとか、クリエイティブだからとか、そういう役割に縛られていると、いい仕事はできないなと思っています。

菅原菅原

私も、半導体レーザを軸にしながら、現状の事業領域、進捗に満足せず、2人と作り上げた成長ストーリーに沿って、事業拡張を進めていきたい。

越智越智

菅原さんと私たちのチームは、まだまだやりたいことがたくさんあります。中長期のビジョンと足元、それらを成長ストーリーに沿って、着々と実現していく。菅原さんと私たちはそこが一致しているので、相違することがなく、意思疎通ができています。結果事業スピードも上がる。QDレーザはもっと世界を変えられると信じています。