地方テレビ局 はじめてばこ | 地方のテレビ局とつくる、地元の人との新しい関係

CHALLENGE

PROJECT

地方テレビ局 はじめてばこ

地方のテレビ局とつくる、地元の人との新しい関係

東京一極集中が進む中、地方のテレビ局は地元の生活者とどのような関係を築いていくべきか。テレビ番組をつくる/見るという関係を超え、共にその街で生きる者同士の新しい関係性をつくりたい。その想いで生まれたのが、「はじめてばこ」。県内で生まれた子どもとその家族に、地元のテレビ局から贈られる、無料のプレゼントボックスだ。テレビ新広島から始まったそのプロジェクトは全国に広がり、今では約20のテレビ局が参加。なんと、はじめてばこ実施エリアでは新生児が生まれた家庭の約半数に、「はじめてばこ」が贈られている計算となる。現在、このプロジェクトの中心にいるのが、5年目の見學、3年目の樋口、2年目の小松、の3人の若手社員たち。彼らが、地方のテレビ局にこの取り組みを展開させることにより、今後一緒に見たい景色はどこにあるのだろうか。

人生の「はじめて」を、
一緒にお祝いしたい。

INTERVIEW

  • 見學 真裕子
    見學 真裕子
    MEDIA
  • 小松 勇貴
    小松 勇貴
    MEDIA
  • 樋口 華玲
    樋口 華玲
    MEDIA
INTERVIEW /01

番組をつくるだけが、テレビの仕事じゃない

━━ そもそも、どうして地方のテレビ局が、赤ちゃんの誕生を祝うんでしょう?

見學見學

赤ちゃんの誕生は、家族だけではなく、社会にとっても祝福すべき幸せ。そして、地方のテレビ局にとっても、同じ地元で共に生きる仲間が増えるという意味で、特に喜ばしいことですよね。だから、「この街に生まれてくれてありがとう」という気持ちを込めて、オリジナルのグッズや、地元の企業から提供してもらったプレゼントなどをお贈りしているんです。

樋口樋口

出産・子育てについては、人それぞれの価値観があります。でも、命が生まれるタイミングは、その人にとっては、きっと、人生で一番の瞬間。その瞬間を一緒にお祝いできるなんて、そんなに素晴らしいことはないですよね。

━━ 「はじめてばこ」が始まったのは2015年。みなさんは入社5年目以内なので、途中から参加したことになりますね。

見學見學

そうですね。先輩から受け継いで、この仕事に関わるようになりました。

━━ なるほど。最初は、そこまで情熱はなかった?

見學見學

正直にいうと(笑)。でも、実際に受け取ってくださった方の声を聞くと、喜びの声がかなり多かったんです。お贈りしたものが実際に役に立っているという話を聞いて、「やってよかったな」と思いました。

  • 赤ちゃんの「はじめて」を写真で保存できる

  • 空いた箱に思い出の品を入れることも

INTERVIEW /02

誰かの心に届く仕事を

━━ そうした喜びの声の中で、特に印象に残っているものはありますか?

見學見學

ほんの一例ですが……あるお母さんは「周囲の人に反対されながらも、シングルマザーとして出産した」というエピソードを寄せてくれました。

樋口樋口

「私の子どもも、他の子どもと同じように生まれてきて、同じように祝福されていることがうれしかった」とまで言ってくれたんです。

小松小松

それを見たときは、涙がこぼれそうになりましたね。僕は、リモートワークが当たり前の時代に入社しました。だから、自分の仕事が誰かのためになっている実感が持てなくて、不安に感じることもあったんです。でも、僕のどんなにささやかな仕事も、自分の想像を超えた場所で、誰かの心に届いていることに気付きました。

樋口樋口

「はじめてばこ」以外の仕事でも、見えないところで、誰かの役に立っているのかも、って思えるようになったよね。

見學見學

これは一人の言葉ですが、誰かの背中を押すことができるなら、仕事のやりがいになると感じます。

━━ 自分の仕事が誰かに届くのは、この仕事のいいところかもしれませんね。

樋口樋口

就活のOG訪問を受けたとき、大学の後輩に「はじめてばこ」のことを話したら、「CMを見たことがあって知っています!」と言っていました。自分より下の世代にまで認知が広がっていることがうれしかったです。

  • 子育てするパパ・ママにも好評

INTERVIEW /03

若手だからこそ、できること

━━ みなさんは、この仕事に対して、どのような気持ちで取り組んでいますか?

樋口樋口

じつは私、テレビを持っていない新入社員だったんですよ(笑)。ウェブメディアやSNSを見て育ってきて。それなのに、配属はマスメディア、それも地方のテレビ局の仕事。最初は戸惑いましたが、地方で働く方の、地元への愛に触れ、この仕事が好きになりました。テレビとの接点が少なかったからこそ、この業界の魅力を新鮮に感じられます。

見學見學

学生時代に抱いていた、「海外に日本の良さを発信したい!」という想いは、ずっと持ち続けています。さらに、地方との仕事を通して、「日本の地方には、こんな魅力があったのか!もっと知りたい!」という想いが強くなっている感じですね。

━━ 「はじめてばこ」は、全国約20局の地方テレビ局で展開されていますが、各地方で、個性を出していますよね。

見學見學

そうなんです。どの地方にも、それぞれの魅力があるので、自分としては、その良さを、もっと広く伝えていきたいなと。

小松小松

先輩から引き継いだ仕事なので、責任を感じることもあります。でも、だからこそ、やりがいがあるんです。この仕事で出会う社外の方は、僕よりもずっと年上の方々。それでも、これまで築いてきた信頼関係のおかげで、若い僕たちも信頼されていると感じます。

  • 多種多様な箱のデザイン

INTERVIEW /04

メディア局の可能性は、
メディアの外にも広がっている

━━ 電通のメディア局のメイン業務は、メディアの売り買いというイメージを持たれがちですが、「はじめてばこ」というチャレンジには、どんな意義があるんでしょうか?

見學見學

マスメディアは過渡期だといわれています。でも、だからこそ、新しいチャレンジがしやすい環境ともいえると思うんです。放送というメイン業務以外から収益を生み出すチャレンジを、どんどんやりたいです。

樋口樋口

私も。学生時代には知らなかったのですが、地方のテレビ局は、想像以上にその地方の中心的な役割を担っているんです。だから、テレビ局が、地元のために良いことをすると、すごく盛り上がる。「放送」だけじゃなく、メディアが地方のためにできることって、まだまだあるんじゃないかな、と思います。

小松小松

「はじめてばこ」を届けるまでに、僕たちと地方のテレビ局の他にも、地元企業、自治体、各地域の配送スタッフの方々など、多くの人が関わっています。すべての人に感謝しつつ、いつか他のお仕事でも恩返しがしたいですね。

━━ メディア局の中にもさまざまな仕事があり、社外の方々との連携が不可欠なんですね。

見學見學

私、電通には“自分一人ではできないこと”がやりたくて入社したんです。そして「はじめてばこ」は、絶対に一人ではできないこと。東京出身の私ですら、地方との結びつきができて、しかも、誰かのためになる仕事ができている。入社前には想像もできなかった自分に驚いています。