13YOUHEI UGAERI | CREATIVE

LIFE

13育児中心の生活で、働き方をアップデートする

YOUHEI UGAERI魚返 洋平
CREATIVEクリエーティブ2003年入社

Q.今、情熱を持って取り組んでいることはなんですか?

「育児をめいっぱいやりながら仕事をどこまでできるのか」問題と日々、格闘しています。これ自体は先駆的でもなんでもないですね。これまで「働きながら子育てする女性」の多くが通ってきた道だと思います。もうひとつ。このテーマを、男性である自分の体験と言葉で発信していく活動をしています。個人で文章を書いたり、イベントに登壇したり、さらには社内のチーム「パパラボ」でも。みんなの問題にするために、見える化する。そこに、コピーライターとして培った視点や職業技術を生かしています。とはいえ、毎日の生活はスマートさからは程遠いもの。僕の場合は育児や家事の都合上、基本的に09:30~17:30しか働けないわけですが、それで企画・制作の仕事を思い通りにこなすのはなかなか難しい部分もある。それでも、男性の家庭進出が当たり前になることこそが、男女みんなの「両立」をしやすくするのだと信じて、試行錯誤を続けています。

Q.過去のどのような経験が、今のあなたをつくっていますか?

2017年に子どもが生まれて、妻と一緒に育休を取った体験。喜びも大変さも、せっかくだから言葉にしておきたいと思った。その半年間が起点になっているような気がします。育休の体験記を著書として出版したり、それがドラマ化されたりしたことで、このテーマをいろんな人と分かち合うこともできた。男性の育児や家庭進出ってテーマを、これくらいポップに語ることができるんだと気づきました。そんな流れのなかで、こういう言い方はなんですが、もはや中途半端なところでやめられないぞと。家族と暮らしているかぎり、これから先もずっと向き合っていく課題なんだろうな、と思うようになりました。

Q.仕事が旅だとして、あなたが見てみたい、「誰も見たことがない景色」は何ですか?

そんなものがあるんだろうか…。仮に「誰も見たことがない景色」があるとして、それを描写するすべを持ちません(なにしろ「見たことがない」んだから!)。それに案外、ものすごく平凡な幸せ、みたいなところになんだかんだで帰着するんじゃないかという気もしています。先駆どころか、むしろ普遍。かっこよくなくてすみません。世の中的に言えば、仕事だろうと家庭だろうと、みんなが古い「呪い」(バイアスともいう)から解放されている景色はいいですね。そういえば話はちょっとそれますが、自分のエッセイがドラマ化されたとき、自分の役を瀬戸康史さんが演じるのを周りの人たちと一緒に見ながら、まるでパラレルワールドに来たかのような不思議な感覚がありました。あれは、本を書いたときには予想もできなかったし、普通はなかなか見られない景色だった気もします。

Q.どんな学生でしたか?

演劇とバンドをやっていました。「働く」ことが好きじゃなくて(バイトすら本当はしたくなかった)、サラリーマンになることに対しても前向きとは言い難かった。でも、生活のためにどうせ働かなくちゃいけないのなら、少しでも好きなことのそばに居たいなとは思っていました。

 

Q.電通に入ろうと思った理由

「日本語を素手で取り扱う」ような仕事をしたいと考えていて、広告コピーというものに何かロマンを感じたので広告会社や出版社を志望しました。あとは成り行きです。当時、就職というものをよく分かっていなくて私服で面接に臨んだのですが、電通(の面接官)は面白がってこちらの話をたくさん聞いてくれました。

Q.THE 8 WAYSの中で、好きな言葉を教えて下さい。

THE 8 WAYSとは?
WE ALL LEAD | リーダーという職階はない。アイデアを出した人が、やり遂げた人が、リーダーと呼ばれる。

これがいちばん説教臭さを感じず共感できるので。

Q.百色名刺から、その色を
選んだのはなぜですか?

COLOR
NUMBER
033

どういうわけかずっと好きな色だから。

Q.入社前の自分と、どこが変わったと思いますか?

当時よりもすこし優しい人間になれた気がしています。ひとつは、仕事を通して。コミュニケーションのアイデアを考えることは、自分とちがう誰かを想像したり洞察したりすることなので。もうひとつは、子どもという他者や、子育ての世界を見たことによって。

 
 

Q.学生時代の
自分に言いたいこと。

自分の専攻している分野を、もっと勉強しておいたほうがいいよと。どちらかといえば勉強していたほうの学生だったと思うけれど、それでもまだまだ足りなかった。それは「仕事の役に立つ」とかいう小さな話ではなくて、人生を楽しむ機会をより増やすために、ですね。