BX(ビジネス・トランスフォーメーション)
山原 新悟
BUSINESS/DIGITAL TRANSFORMATION
マネージング・ディレクター。入社以来、プロモーション、経営企画、ビジネスプロデュース(BP)、そしてBX領域と、電通の中では比較的幅広い経験を持つ。
笹森 愛
BUSINESS/DIGITAL TRANSFORMATION
BXデザイナー。メディアやデジタル、マーケティング部署を経て、BX局へ。お菓子作りと、手先を動かす細かい作業が好きな、2児の親。
二瓶 太一
BUSINESS/DIGITAL TRANSFORMATION
BXデザイナー。マーケティング局、電通デジタル出向を経て、BX局へ。事業創出・事業変革の戦略や構造を描く。趣味は麻雀。
林 楊子
BUSINESS/DIGITAL TRANSFORMATION
ビジネスデザインプロデューサー。BP局から、社内インターンでBX局へ。海外旅行と映えることが好きで、年間5カ国以上を旅している。
INTERVIEW /01
犬タビュアー
二瓶
比較されることも多いのですが、戦略コンサルと電通のBXは、その手法に少し違いがあると思っています。誤解を恐れずに言えば、戦略コンサルはクライアントの課題を精緻に洗い出し、解決のための叡智を与える、「答えを導き出す」アプローチ。対して電通のBXは対話を通してクライアントがやりたいこと、目指すべきものをイチから共に考える、「答えを一緒につくっていく」アプローチ、とイメージしていただければと思います。あくまでそういった傾向が強い、ということなので、“どちらかといえば”程度で捉えていただけると幸いです(笑)
林
クライアントの課題ももちろん伺うのですが、クライアントが何を自分の企業の魅力だと考えているのか、本当は何をやりたいのか、一緒に考えていく姿勢を大切にしています。
笹森
ここまで社会の変化が早い時代だと、「今まで正解だと思っていたものって、これで良いんだっけ……」と悩んでいるクライアントも多いんです。だからこそ、その企業らしさを見つけ、自信を取り戻すことが求められていると感じます。電通社員って、ふだんから「人のいいところ」を探すのが得意なので、「企業のいいところ」を探すことも向いているのかもしれませんね。
林
「社会はこう変わる」「これからは〇〇の時代だ!」と言われても、今までやってきたことを、人はそんなに簡単には変えられないですよね。どんなに有利なデータがそろっていても、その企業が「やりたくない」と思っていることって、うまくいかなくて。まずはクライアント自身が得意なこと、魅力だと思っていることから事業を伸ばしていきたいですね。
山原
数年前にDXや新規事業開発、パーパス経営などの変革のキーワードが声高に言われるようになりました。ただ、戦略や仕組みを変えても、人が熱量高く動いていかないとうまくいかなかったケースもたくさんありました。一度は壁にぶつかった企業変革や事業変革を再起動するために、いわば変革の「2周目」とも言うべき悩みと向き合っています。
二瓶
結局、正論だけでは、人の心は動かないんですよね。人が動くためには、クライアントの一人ひとりが「やりたい」と心から思えることが不可欠で。何かを削って効率化するだけではなく、どうせなら、楽しい方、おもしろい方に、ポジティブな変革をもたらすことを電通は期待されていると感じます。
林
社会人になりたての頃は、コンサルタントのあるべき姿は、どれだけ賢いことを正しく言えるか、それによって頼られるかが大事だと思っていました。でも、相手が聞きたくなる伝え方で、相手の心を動かせなければ、いい仕事は生まれないんですよね。そのためにも、人として信頼され、愛されることが大切だと今は思っています。
二瓶
最短距離で正解を出すことも優秀さだと思いますが、時には「競争に勝つだけでいいんだっけ?」「そもそも、業界や産業をどう変えていきたいんだっけ?」と、俯瞰(ふかん)した目線で、広さや深さを持って考えることも大事にしたいですよね。
INTERVIEW /02
山原
私たちの組織全体では、年間数百件の企業変革や事業変革の支援をしていますので、非常に多くの業種、パターンのノウハウが蓄積されています。ですから、まず「変革に取り組むと、まずはここにつまずきますよね」「他の企業でも、こんな壁に突き当たることが多いですよ」と、変革のリアルな難しさを共有することが多いです。すると、「そうそう、実はうちも……」と、インサイトに共感してもらい、自社の課題を話し始めてくださることが多いです。
山原
クライアントは、「自分の会社のことは自分が一番よく知っている」という自信を持っているし、実際に経営のプロの方ばかりです。そんな方にいきなり「こんな課題があると思うので、こんなプロジェクトをやりませんか」と言っても、聞いてもらえないですよね。
林
そもそも、初対面の人にいきなり自社の課題とか聞かれても、話したりしないですよね。
山原
いいプレゼンの場って、頂いた時間の8割ぐらいをクライアントが話してくださるものだと思っています。ロジックやきれいごとじゃなく、本当のインサイトをこちらから提示して共有できたからこそ、クライアントが本当に「やりたいこと」があふれ出てくる。私たちが提案する以上に、熱量の高い意見が返ってくる。
二瓶
だから、私たちが行うプレゼンは、「提案」ではなく「セッション」と呼んでいます。こちらの提案をきっかけに、クライアントの意見を引き出し、対話し、一緒に形にしていくことがゴールだと思っています。
笹森
事業変革って、本来は電通だけが推進しても仕方がないものなんです。クライアントの社員たちが自分たちで責任を持って、主体的にドライブしないとうまくいかない。だから、私たちはクライアントの主体的な想いを引き出し、動かしていくための手伝いをしているというスタンスで仕事をしています。
林
セッションには、経営層だけでなく、たとえば日常の業務に向き合う現場の方々をお呼びすることもあります。心理的安全性を担保して、どんなアイデアも肯定できる雰囲気を大事にしながら、社員全員が一つになれるよう工夫しているんです。
山原
結局、電通は「人を動かすプロ」だというDNAは変わらないんです。これは広告、マーケティングで長年培ってきたものです。これは、「新しい事業で市場を作っていく」ことや、「企業の内部を変えていく」という領域でもとても大事な要素だと思っています。この領域でも、常に生活者や市場の目線に立って、アイデアを一緒に実現していく。複数の業界で事業変革や企業変革を進めるからこそ、独自の深みと説得力が生まれるのかなと思っています。
INTERVIEW /03
二瓶
業界ごとに専門のチームが対応するというよりも、案件に合わせた最適なチームをその都度組んでいくことになります。
笹森
職種や年齢の垣根もなく、かなりフラットですよね。リーダーや上司が絶対ではなく、社内で意見を言い合うカルチャーがあります。
林
どんなに型破りなこと、世代によってはギャップがあるような意見を言っても聞いてくれる雰囲気ですよね。どんな意見でも「何かクライアントのためになるんじゃない?」と、前向きに受け止めてもらえます。
二瓶
職種の越境行為をしても絶対に怒られないどころか、逆に喜んでくれる文化がありますよね。クライアントに持っていく直前まで、それぞれの意見をぶつけ合っています。決まったフレームワークを前提にすることがほとんどないので、毎回ホワイトボードを使って、ゼロから考えをまとめていく感じです。
笹森
そもそも、事業の課題は難しいので、誰が正解ということではなく、多様な視点で検討して、クライアントの期待に応え、超えていく必要がある。だからこそ、フラットな環境が生まれているんだと思います。
山原
打ち合わせのたびに、「よくここまで考えたな」って思うことが多くて。みんなの企画書から、思考の圧力が伝わってくるんですよ。当たり前のことですが、クライアントは自分たちの事業に対してものすごく真剣に考えているので、彼らの熱意に応えるのは大変なことです。
二瓶
議論の場で、バチバチと化学反応が生まれていますよね。
山原
クライアントが考えた量をはるかに超えて、集中して考えることで、やっと自信を持って話すことができる。「ここまで考えたんだ」という自信があってはじめて、クライアントの心に刺さる提案ができるんです。逆に、そこまで考え抜いた人なら、若くてもクライアントの経営者と話せる環境があることも、電通の特徴ですね。
林
広告業界のイメージのせいかもしれませんが、「生まれつきのセンスがないと電通では働けなさそう」と思われることがあるみたいです。でも、センスというのは、日々の生活や業務で周りを観察し、深く思考することで身につくものだと思います。一生懸命考えることを諦めなければ、生まれつきのセンスなんて関係ないと信じていますし、実際そうだと思います。
山原
クライアントに教えられることってとても多いんです。私自身、若手の頃にいろんなクライアントに提案が通らなくて、へこむ、ということを繰り返しているうちに、少しずつ成長してきました。だから今も、どんなに失敗しても熱意を持って考え続けている人と仕事をするのはとても楽しいですね。
INTERVIEW /04
山原
会社が変わる、というのは、簡単なことではありません。上から正しいことだけ伝えて、やることが増えていくだけでは、社員は変革に疲れてしまうんです。とある企業の経営企画の方から伺った話ですが、以前から人事変革や経営変革の説明会をするたびに、「またか」と社員が下を向き始めてしまっていたのだそうです。実はこういうケースってよく聞くんです。でも、電通と一緒に企業変革を進めることになったとき、「社員が元気になって、前向きな空気になってきた」と言ってくださった経営者がいらっしゃって。「人が動くこと」を大切に、クリエイティビティをベースに支援していくことの大切さを感じました。
二瓶
人を動かす事業・企業変革のアイデアには一つの正解があるわけではないので、クライアントに見せるたびに緊張しますし、最初は怖さもあります。でも、一人ひとりが領域の異なる数々のプロジェクトを経験していくことで、だんだんとツボが見えてくるようになるし、その集積がクリエイティビティとして電通の強みにもなっていると感じますね。
林
一人ひとりの心が動く仕事ができるとうれしいです。電通人も、苦手なことじゃなくて、自分が心から楽しめることを伸ばしている人が多くて。仕組みだけじゃなくて熱い想いで課題を解決していきたいですね。
山原
「今まではうまく言葉にできていなかったけど、その通りだね」「こう書かれると、すごくわかりやすいね」と思われることを経営層の領域で行っていくということ。「こんな事業、おもしろいからやってみたいな」「社員が前向きに取り組むようになってきた」と言ってもらえること。すべて、電通のDNAが生きているんですよね。
笹森
いきなり自分が「すごいものを作ってやるぞ」と思わなくても、目の前の仕事を頑張っていたら、結果的に自分も成長して、クライアントにも、世の中にも貢献している。BXと聞くとまったく新しい領域のことに思われるかもしれませんが、仕事の本質は、電通がずっとやってきたことと変わっていないと思います。
山原
正論ばかりの事業改革では、日本企業の閉塞感は変えられない。そんな状況で、アイデアとクリエイティビティを伴った変革が求められているから、電通が企業変革、事業変革に関わるようになったんです。ロジックや戦略はもちろん必要ですが、本当に人の心を動かすことこそ、変革の一歩目だと思っています。
多様な意見を構造的にまとめて
その場で合議をとっていく
ブレストで発散したものを収束させて、
参加者全員で意思統一