LIFE

グラングリーン大阪

芝生広場を中心とした、約45,000㎡の“うめきた公園”。隣接する施設とつながり、イベントや日常利用が重なり合うことで、企業・行政・市民が交わる新しい街のかたちを描いている。隣接するオフィス棟には、電通関西オフィス も移転し、この街の挑戦に参加する。

グラングリーン大阪

2024年、大阪の再開発「グラングリーン大阪」の先行エリアが開業した。中心にあるのは高層ビルではなく、芝生広場を中心とした、約45,000㎡の“うめきた公園”。公園を起点に、企業や行政、市民が混ざり合い、日常の中から新しい関係を生み出していく街づくりだ。電通は、このプロジェクトで単なる広告やイベントの枠を越え、仕組み設計や合意形成に深く関わった。なぜ協賛ではなく「MIDORIパートナー」という制度の立ち上げに至ったのか。なぜ「JAM BASE」という拠点の活動を支えているのか。プロジェクトを担った杉江、志村、そして入居者として共に参画する黒部に話を聞いた。

INTERVIEW

  • 杉江 勇吾

    杉江 勇吾

    MARKETING

    電通関西オフィス所属。グラングリーン大阪では「MIDORIパートナー」の設計と全体統括を担当。企業・行政・市民が長期的に関わる仕組みづくりに携わり、事業者の方々と共にプロジェクトを推進している。熱狂的な阪神ファンで、勝敗が翌日のパフォーマンスに影響する。

  • 志村 彰洋

    志村 彰洋

    MARKETING

    電通関西オフィス所属。グラングリーン大阪の象徴的なイノベーション支援施設である「JAM BASE」の各種施策・運営を支援。継続的にプログラムが循環する仕組みを整え、機運醸成や内外の有機的なコミュニティ形成を図っている。1週間の展開を推察した上で、週刊少年ジャンプを読み続けている。

  • 黒部 遥

    黒部 遥

    IGNITION POINT

    イグニション・ポイント(電通グループ)関西代表。コンサルティングや事業創発、インベストメントを手掛けるイグニション・ポイントとの親和性が高いことから、JAM BASEにオフィスを移転し、入居者として参画。電通と協業しながら、パートナーの視点からも街づくりに関わる。東京から2年前に関西に戻ってきたので、関西グルメを巡ることを楽しんでいる。

    ※イグニション・ポイントはコンサルティング・イノベーション(事業創発)・インベストメントの3事業を軸とし、ヒト・モノ・カネの観点から新規事業や事業変革を推進するイノベーションファーム。2022年5月から電通グループに参画。

INTERVIEW /01

駅前に芝生。
街のはじまりを設計する

  • 犬タビュアー

    犬タビュアー

    グラングリーン大阪の特徴や魅力を教えてください。
  • 杉江

    杉江

    一番大きいのは「MIDORIの力」です。駅前の再開発といえばビルを中心に考えますが、グラングリーン大阪は、逆に「公園の中に街をつくる」という発想で開発が進みました。実際、公園ではたくさんの人がぼーっとしたり、遊んだり、思い思いに過ごしていて、中心にある芝生には人を開放する力があると実感しています。

  • 犬タビュアー
    街づくりという分野で、電通は何を担っているんですか?
  • 杉江

    杉江

    コンセプトとして「MIDORI」を中心に据えることは、事業者の皆さんの中で決まっていました。ただ、この一等地でMIDORIを維持するには大きなコストがかかる。そこで、約7年前にコンペが行われ、スポンサーやクライアントを巻き込む施策づくりのパートナーとして電通が選ばれたんです。複数の企業が事業者として併存する状況で、共通の「旗印」をつくることが私たちの最初の仕事でした。

  • 犬タビュアー
    “広告会社”である強みは、どのように活かされていましたか?
  • 杉江

    杉江

    想いを引き出し、ロゴや映像にまとめる。そして、市民や企業が参加できる物語を立ち上げる。こうした「想いを形にして、人を動かす」ことができたのは、広告で培ってきた技術によるもの。生活者の視点に立って物事を捉えることが得意な電通人の力が、街の価値づくりに活きたと思いますね。

  • 犬タビュアー
    当時まだ関わっていなかったお二人は、グラングリーン大阪をどう見ていましたか?
  • 志村

    志村

    大阪駅前にビルを建てるのではなく、公園を選んだこと自体が大きなニュースだと感じました。そして、電通がそこに関わるなら、まだ誰のものでもない場所を、「誰のものでもある場」にしていく使命があると思いました。電通は、フラットに人と人の関わりを生み出すのが得意な会社ですから。

  • 黒部

    黒部

    当時のことはわかりませんが、今、入居して実感するのは「人の集まり」です。関西経済のキーマンやスタートアップが自然に集まる場所になり、大阪に新しいにぎわいが生まれているなと感じます。名刺交換でも「グラングリーンにいるんですね」と話題になりますし、この拠点そのものが関係をつくるきっかけになっていると感じています。

INTERVIEW /02

企業を仲間に変える仕組み

  • 犬タビュアー
    グラングリーン大阪を「誰のものでもある場」にするために、どんな工夫をされていますか?
  • 杉江

    杉江

    単なる協賛やネーミング露出ではなく、企業が街の日常に関わる仕組みが必要だと考えました。そこで立ち上げたのが「MIDORIパートナー」です。参画企業は芝生広場でサステナブル活動を体験プログラムにしたり、市民や学生と交流イベントを開いたりできる。“スポンサー”を超えて“共同編集者”として参加する制度です。

    社員が現場で市民や学生と交わることで、採用やエンゲージメントの向上、サステナビリティの社会発信など、多くの価値が返ってきます。現在は27社が参加し、互いに協力しながら街に関わっています。PIVOTなど外部メディアでも「新しいスポンサーシップの形」として紹介されました。

  • 犬タビュアー
    ゴールデンウィークには、大規模なイベントも開催したとか。
  • 杉江

    杉江

    はい。「キミが楽しむと、世界がよろこぶ。」をテーマに、「MIDORI FES」というイベントを開催しました。3日間で延べ約80万人が訪れ、企業も学生も同じ芝生の上で同じ景色を見ました。サステナブルという大きなテーマでも、ホールや会議室ではなく公園だからこそ、実感できたのだと思います。難しいことは抜きにして、寝転がりながらサステナブルを語れる――そんな場だからこそ、ウェルビーイングを実感できるフェスになったと思います。

  • 犬タビュアー
    今後はどのような展開を考えていますか?
  • 杉江

    杉江

    候補のひとつとして「ネイチャーポジティブ」のように、守るだけでなく自然を回復させていくテーマに踏み込む可能性もあります。街での活動を通じて、より深い社会課題に挑戦していければと考えています。

  • 黒部

    黒部

    JAM BASEを含むグラングリーン大阪の入居企業、またはMIDORIパートナーの企業と協創プロジェクトを作っていきたいです。1対1の連携だけでなく、グラングリーン大阪は、多数の企業や組織同士がコラボレーションする、いわゆる“N対N”の協創に適した場所だと思っています。1社では解決が難しい社会課題に対して、N対Nの協創を通じて、解決していくようなことをグラングリーン大阪でしたいと考えています。

INTERVIEW /03

“イベントで終わらせない”
JAM BASEの毎日

  • 犬タビュアー
    グラングリーン大阪は「イノベーション」をテーマのひとつに掲げていますが、どのように実現していこうとしているのでしょう?
  • 志村

    志村

    街の引力によって集まる企業、大学・研究機関、スタートアップ、ベンチャーキャピタルなどの推進力を、未来をつくるための挑戦に変えていく、そのための知とビジネスの拠点を設けることは、グラングリーン大阪のひとつの条件でもあったんです。そして、その受け皿となるのが、音楽の即興演奏を表す“JAMMING”の「JAM」と、訪れる人にとっての“基地”を意味する「BASE」からなる、イノベーション拠点「JAM BASE」です。

  • 黒部

    黒部

    大企業やスタートアップ、学生も集まるイベントが日々開催されており、普段の仕事では出会えない人と自然に関われる。偶発的な会話から次の協業が始まるような空気が常にありますね。

  • 犬タビュアー
    でも、イノベーションを起こすって簡単なことではないですよね?
  • 志村

    志村

    そうなんですよ(笑)。イノベーション施設は「作って終わり」になりがちです。偶発的な出会いがあっても、やがて形骸化してしまうことも。僕自身、過去にイノベーション拠点の立ち上げに関わるなかで、その難しさを経験したので、「イベントで盛り上がって終わり」にしないことを徹底しています。イノベーションの真価が見えてくるまでには時間がかかりますが、だからこそ継続的に仕掛けていくことが大事だと思っています。

  • 犬タビュアー
    運営支援で大切にしていることは?
  • 志村

    志村

    ひとつは「排他性を持たないこと」。気合を入れすぎて敷居を高くするのではなく、肩の力を抜いて、「織りなす」ように人をつなぐ。その空気感を大事にしています。

  • 犬タビュアー
    どんな取り組みがあるのですか?
  • 志村

    志村

    たとえばNewsPicksやForbes JAPANと連携したイベント、Voicyでの音声配信など。顔を出すと話しづらいことも、声なら素直に語れる。その“声”をきっかけに企業がつながる新しい関係をデザインしているんです。電通はデベロッパーではないので、ハード面での街づくりはできません。でも、ソフト面でコンテンツをつくることで、街づくりの当事者として貢献できることはいくらでもあると思います。

  • 杉江

    杉江

    街づくりを支えるだけでなく、街づくりの「当事者になる」ことが、このプロジェクトのゴールなんですよ。

  • 黒部

    黒部

    グラングリーン大阪は、みんな当事者意識が高いですよね。東京から訪れた人からも、「こんな場所は東京にもないね」とよくおっしゃっていただきます。

INTERVIEW /04

オフィス移転からはじまる、
あたらしい挑戦

  • 犬タビュアー
    電通関西オフィス は、グラングリーン大阪に移転するそうですね。
  • 杉江

    杉江

    グラングリーン大阪の南側にあるオフィス棟へ移転予定です(2026年7月予定)。社内は20階・21階の2フロアに集約され、部署を超えた動きが生まれやすくなります。

  • 志村

    志村

    打合せ前に芝生で顔を合わせる、イベント後にそのまま次の企画を決める――そんな“偶然が起きやすい日常”をつくれるのが一番の変化です。

  • 黒部

    黒部

    グラングリーン大阪には、グループ会社の社員も働くことになるので、距離感が近くなりますし、ますます仲間になったという感覚がありますね。

  • 犬タビュアー
    グラングリーン大阪で働く当事者として、今後の意気込みやメッセージをお願いします。
  • 黒部

    黒部

    私は働く上で、どういう視座をもって仕事をするかが大事だと思っています。前職は、大手のコンサルティングファーム会社でしたが、組織の大きさゆえに、自分ができることが小さく見えてしまい、自分や身近なところにしか意識がいっていなかったと思います。それに比べると規模は小さくなりますが、自分がリーダーシップを取れば動かせる部分もありますし、より広い視点で仕事ができるようになったと思います。これはベンチャーファームならではのやりがいかなと思っています。さらに、グラングリーン大阪に入居して、入居企業もみんな仲間という感覚なので、街全体の発展という視座で仕事をしていきたいと思っています。グラングリーン大阪を中心に関西全体を盛り上げていくことに携わっていきたいです。

  • 杉江

    杉江

    何のために働くか。何のために社会人になるか。何のために電通に入るか。迷っている人は多いと思います。一つ言えるのは、「世の中をよくしたい、世の中を楽しくしたい」と思うなら、電通は最高の会社だということです。自分から行動を起こせるし、自分がお客さんになることもできる。やりがいがある会社だと思いますね。新しいオフィスでは、社外向けの展示も開かれる予定なので、学生のみなさんも遊びに来てほしいです。

  • 志村

    志村

    僕は学生のとき、将来なにをしたいのか、わからなかったんです。でも、電通にはいろんな仕事があるだろうと思って、電通に飛び込みました。実際、部署が変わるだけで「転職」といえるくらい環境が変わって、飽きることがない(笑)。そういう意味で、電通には「株式会社 社会」っていうくらいの世界が広がっているし、いろんな人を許容する会社だと思っています。学生時代の僕のように迷っていたり、まだ見ぬ可能性に賭けたいと思っている人は、ぜひチャレンジしてみてください。電通は建物は建てられませんが、それ以外はなんでもできると思いますよ。