12YUKO KITAKAZE | 電通グループ Global Chief Sustainability Officer

LIFE

12想像力で偏見に立ち向かう

YUKO KITAKAZE北風 祐子
電通グループ Global Chief Sustainability Officer1992年入社

Q.今、情熱を持って取り組んでいることはなんですか?

電通グループを、今よりさらにフラットでオープンな、誰もが働きやすいグループに変えたいです。弱みを見せたら負け、みんなと違うから間違っている、ではなく、電通グループ本来の強みである社員の多様性を、プラスの力にしていきたい。そのためには、一人ひとりが無意識の偏見をなくしていくことが大切です。自分と違うからといって、すぐに否定したりせずに、まずは話を聴いてみる。対話してみる。対立構造からは何も生まれません。2020年に亡くなったクリエイティブディレクター岡康道さんは、企画の仕事について「相手と自分の距離を見極めること。その上で、相手の生きている時間を想像すること」という言葉を残されました。DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)でも、同じことが大切です。相手は自分とは違うから、わかり合うことはできない。それでも相手の生きている時間を想像しなければなりません。

Q.過去のどのような経験が、今のあなたをつくっていますか?

もともと「人と違うことは間違いではなく、むしろ強みだ」と考えていましたが、2017年にステージ0期の乳がんに罹患(りかん)して、職場でマイノリティになったことで、さらにその考えが強くなりました。それまで仕事家事育児に追われて、息もつかずに突っ走ってきましたが、急ブレーキがかかったわけです。「死」をかなり身近に感じました。それでも今、家族や同僚に支えられて、自分は生きている。最悪の事態なのにありがたい気持ちになる、という不思議な状態でした。1カ月休んでから復職したら、世界がまるで違って、晴れやかに見えました。それまで抱えていた不満が吹き飛んで、仕事ができる喜びでいっぱいでした。同時に、病気になるまでは見えていなかった「働きたいのに働けない人の気持ち」が少しわかるようになりました。がんに対する無意識の偏見があることも感じました。さらにはがん以外にも、職場での生きづらさの原因になっていることは、たくさんあることに気づきました。気づいたからには、事態を改善したい、と強く思い、行動するようになりました。
詳しくは15MINへ

Q.仕事が旅だとして、あなたが見てみたい、「誰も見たことがない景色」は何ですか?

電通グループはもちろんのこと、世の中全体が、自分と「違う」人を除外せず、見て見ぬふりをせず、たとえわかり合うことができなくても、違いを認め合っている。お互いを思いやり、話し合い、カバーしながら、みんなで強くて優しいチームになっていくための方法を常に模索している。そして、みんなが笑顔。そんな景色が見てみたいです。

乳がん体験記をForbes JAPAN Webで連載

Q.どんな学生でしたか?

「動く遊園地」のような学生でした。あの⼿この⼿で⼈を楽しませる存在でありたかった。寂しそうな人や、つまらなそうにしている人がいると、なんとかして笑わせたい、と近寄っていく。うまくいっていない人同士を、自分があいだに入ってそれぞれの考え方や良いところを伝えることで、つないだりしていました。人の心の奥深くを考えることが好きで、いつか小説を書くのが夢でした。

 

Q.電通に入ろうと思った理由

人を喜ばせる仕事がしたかったから。誰がやってもうまくいかないことを解決したり、全然おもしろくないことを最高におもしろくしたりすることに本気で取り組む人がたくさんいる会社だと感じたので、自分の性質に向いているし、武者修行してさらにバージョンアップできると確信しました。

新入社員時の自己紹介、結局ゴルフは練習場止まり

無意識の偏見を払拭(ふっしょく)する研修を独自に開発

Q.THE 8 WAYSの中で、好きな言葉を教えて下さい。

THE 8 WAYSとは?
WE ARE A FORCE FOR GOOD | 世の中の幸福。それは、クライアント以上の、私たちのクライアント。

誰かを幸せにできたら、悔いのない人生になると思うから、この言葉が一番好きです。でも、いきなりSocial Goodではなく、まずは「目の前のGood」から実践!です。

Q.百色名刺から、その色を
選んだのはなぜですか?

COLOR
NUMBER
074

シャインマスカットの色。新しい道をフレッシュな気持ちで。

Q.入社前の自分と、どこが変わったと思いますか?

本質的にはどこも変わっていません。強いていえば、自分が育つより、人が育つことのほうがうれしいと思うようになりました。

 
 

Q.学生時代の
自分に言いたいこと。

私が仕事でやりたいと思うことは、いつも一人ではやれないことばかりでした。でも、自分以外の人には、必ず自分にない人格や能力があるので、そのことをいつもリスペクトしてきました。そうしたら自然に仲間が増えて、やりたいこともかなう、という好循環となりました。健康第一で、電通をフル活用してね。小説は、もっとはやめに書いたほうがいいよ。