32YASUHARU SASAKI | 電通グループGlobal Chief Creative Officer

LIFE

32クリエイティブを世界にひらく

YASUHARU SASAKI佐々木 康晴
電通グループGlobal Chief Creative Officer1995年入社

Q.今、情熱を持って取り組んでいることはなんですか?

これは会社の仕事ではないのですが、最近、個人として力を注いでいることがあります。それは、クリエイティビティやテクノロジーを使い倒して、自然あふれる日本の美しい地方に、楽しくて刺激的な暮らしができる場を生み出すこと。田舎暮らしや地方創生とはちょっと違って、インターネットもしっかり使うし、東京や世界の人たちとの最先端の仕事もあきらめないけど、目の前に広がる美しい自然や、そこに集まるすてきな人々から常にインスピレーションがもらえて、アイデアが毎日こんこんとあふれ出すような、持続的に発展して価値を生み出す空間をつくること。広告業界とは全く違う多様なメンバーが集まりさまざまな地域を実際に歩いて、みんなで夢想しています。「電通で培ったクリエイティビティは、どんなところでも応用できるんだなあ」と感じながら、どうやってそんな空間を実現すればいいか、楽しく悩んでいるところです。

Q.過去のどのような経験が、今のあなたをつくっていますか?

1990年代後半から、デジタル領域のクリエイティブを開拓する仕事をしていました。当時はスマートフォンもSNSもまだなくて、「ネットなんて誰も見てないんじゃないの」なんて言われる頃。そのクリエイティブのつくり方もまだ定まっていなくて、周りでやりたがる人も少ない。そんな中、なんとか仲間のみんなで「面白いデジタルなクリエイティブ」を発明しようともがいていました。でもそこでの経験から、あらゆるものがコミュニケーションの道具や体験装置になり得ること、どんな場所でもクリエイティビティが何より価値を持つこと、そして、熱意と工夫があれば「できないこと」なんてない、ということを身をもって知りました。今でもその時の仲間と経験が生きていると感じます。時代もメディアもどんどん変わっていきますが、みなさんもぜひ「自分で新しいクリエイティブ手法をつくってやる!」という意気込みを持つと、楽しいかと思います。

Q.仕事が旅だとして、あなたが見てみたい、「誰も見たことがない景色」は何ですか?

広告クリエイティブの仕事が「旅」だったとして、これまでは、その行き先を自分たちで限定していたんじゃないかとも思うのです。クリエイターのまま堂々と広告領域の外に行く、とか、国内だけでなく海外で戦う、ということをしてこなかった。安全快適な範囲で満足していたのかもしれません。自分としては、「dentsuを世界最高のクリエイティビティカンパニーにする」というゴールを目指したいと思っています。直行便ですぐ行ける目的地ではないかもしれませんが、できないことなんてない。dentsuが誇る夢想力と実現力は、世界有数のものです。dentsuに集まっている素晴らしいクリエイティブの才能をもって、人々の課題、企業の課題、地域の課題、世界の課題を解くことに使いたい。いつも言っていますが、クリエイティビティは、人や世の中が動く、最もクリーンなエネルギーなのですから。

2022年のカンヌライオンズ(国際クリエイティビティ・フェスティバル)

海外の仕事仲間たちと

Q.どんな学生でしたか?

小さい頃から、野山で植物を探したり、海川で釣りをしたり、一人で自然にまみれるのが好きでした。そういう自然科学への興味はいつの日かコンピューターに向かうようになり、中学生の時は地元の西友のPC売り場で朝から晩までプログラミングしていました。大学でもそれは変わらず、泊まり込みでずっとコードを書いてましたね……。

 

Q.電通に入ろうと思った理由

高校生の時コンピューターの「ネットワーク」に出会い、衝撃を受けました。知らない誰かとつながり、情報が交換できる。その後それはインターネットとして発展していきますが、「ネットが今後『メディア』になって、世界中で動画やゲームを交換できるようになるかも」と、1992年頃思いました。これに研究者としてではなく産業として関わりたい……と考え電通を受けました。

1995年(平成7年)、電通に入社した日

北海道で趣味の川下り

Q.THE 8 WAYSの中で、好きな言葉を教えて下さい。

THE 8 WAYSとは?
WE CHOOSE EXCITEMENT | 迷ったら、面白い方へ。迷ってなくても、その方がいい。

難しくても面白いことを実現したい。これを選ぶ人は多いと思いますが、自分の信条にいちばん近いと感じます。

Q.百色名刺から、その色を
選んだのはなぜですか?

COLOR
NUMBER
097

性格が地味なので名刺とシャツの柄は派手に。

Q.入社前の自分と、どこが変わったと思いますか?

恐ろしいことに、何も成長していない気がしています(体重は成長した)。ずっと同じような感じで日々悩みつづけているまま、はや28年……。大きくなったらもっと大人になれると信じていたのですが。

 
 

Q.学生時代の
自分に言いたいこと。

「できないかも」と、あきらめないでね。例えばあの時、Ph.Dを目指すのは無理だなと思ってあきらめたけれども、一歩ずつ進めば確実に山は越えられる。そして山の向こうにはまた違う景色があり、もう一つの山がある。電通での山も相当面白いので、全然後悔はしてないけれども。